回復の過程について
うつをはじめとする精神疾患の回復の過程において、私なりに感じていることを書いておきたいと思う。
精神疾患と診断され、闘病生活が始まる。
すんなり受け入れられる人もいるだろうし、受けれられない人もいると思う。
ここが先ず一つの関門となるかもしれない。
自己受容、疾病の受容とも言い換えられるものは、この疾患において大きな比重を占めるものと考える。受け入れることが出来てはじめて治療へと進み、回復への闘いが始まるとも言えるのでないかと感じる。
精神疾患というものは、様々な喪失体験を伴うものと考える。その最たるものはアイデンティティの喪失とも言えるものである。
自分が何者でもない、という感覚は社会的、経済的、心理的弱者という感覚を伴う。
休職や休学、退職を余儀なくしなければならないことが多く、それだけでも大きな喪失であるが、社会的にも理解されにくい、受け入れられにくい、などのことは家族からも理解されないなど、人間関係の喪失とも言えるものを経験することもある。
この様な大変厳しい状況の中で闘病しなければならないことそのものが困難を伴うのは想像に難くない。
このような困難な状態のなかで、患者はアイデンティティの再構築をしていく作業をしなければならない。
これが厄介である。
自分が何者かであるということは、社会的、経済的、心理的にどこかで自分に対する自信の様なものを再獲得していく作業ともいえるものだと考える。
これらは、必要量の薬物療法なり、質の良い療養を基本としながらも、精神療法、心理療法などを伴いながら進んでいくものと考える。
心身ともに回復していく中で、自然と取り戻されるものもあれば、病から立ち直るために意図して取り組まねばならないものもある。
自身の喪失は、自信の喪失とも言えるものであり、それを取り戻す、もしくは再獲得なり再構築していく作業が治療や回復へと繋がるものと考える。
これらの過程を通じて寛解もしくは、抱えていても生きていける状態を作り出していくことが回復への過程なのだろうと考える。