見出し画像

健康相談でよくある質問 その①「どうしたら痩せますか?」 

健康相談で、ある相談者様からこのような質問がありました。

「食べるものを変えていないのに体重が増えていくのはどうして?」
「どうしたら痩せられる?」
「昔の体重からは考えられないんだけど…」  

時々これらの質問を受けることがあります。
と言うことは、このような疑問を持っておられる方は多いのでは?

そう思い、今回は保健師の本業として「体重が増える理由」についてお伝えします。


体重増減のメカニズム

なぜ体重は増えたり減ったりするのか?

そもそもですが、皆さんは体重が増えたり減ったりする原因は何にあると思いますか?

健康相談でも、まず相談者様に体重増減で思い当たることはないかを振り返っていただきます。

皆さんからは様々な気づきが返ってくるのですが、中でも多いのがこれらです。

・「こないだ暴飲暴食をしたから体重が増えたのだと思う。」
・「最近運動不足だからかな。でも運動する時間はない…」
・「寝る前のポテトチップス(またはアイス)かな?」
・「運動する機会が減って筋肉量が減ったからだと思う。」
・「炭水化物ダイエットをしたら体重が減りました。」

もちろん中には、「思い当たることはない。」「分からない。」という方もおられます。

体重増減のメカニズム

体重が増えるか減るかについては、この図が分かりやすいと思います。

出典:「ちょうどよいバランスの食生活」 農林水産省

これより、体重の増減には「エネルギーの摂取量と消費量のバランス」が関係していることが分かります。

エネルギーの摂取量とは、食事から摂取するエネルギー量のことなので、食事から得たカロリーと考えてください。

一方、エネルギーの消費量とは、大きく3つのもので構成されています。
それは、基礎代謝量(約60%)、食事誘発性熱産生(約10%)、身体活動量(約30%)です(下図参照)。

出典:e-ヘルスネット 「身体活動とエネルギー代謝」 厚生労働省 

そのため、消費量を増やそうと思ったらこれら3つの量を上げる必要があります。
ただし、基礎代謝量は年齢や体格に左右し、熱産生は食事摂取量によって決まります。
そのため、個人で上げることができるのは身体活動量による消費量ということになります。

昔ほど痩せない理由

ここで冒頭の質問の一つ、「食べるものを変えていないのに体重が増えていくのはどうして?」に回答したいと思います。

先程お伝えした「摂取量と消費量のバランス」に当てはめると、摂取量は変わっていないとのこと。しかし、体重は増えている。

となると、上の図が当てはまります。

つまり、食事摂取量に対して必要な消費量が少なくなっているということが考えられます。

エネルギー消費量の中でも、基礎代謝量は年齢とともに低下します。
そのため、昔と同じものを食べて同じ量の運動をしても、この基礎代謝量の低下のせいで消費量が減り、結果的に体重が増えるということになります。

体重が増える原因となるもの

基礎代謝の低下以外にも体重が増える原因は様々です。
その中でも最もメジャーな要因は、不適切な食習慣と運動不足です。

不適切な食習慣

「食習慣」と言うのは簡単ですが、その内容はとても複雑です。
健康的な食習慣としては、「1日3食」「バランスよく食べる」。
正直これに尽きます。

あとは、ご自身の年齢や体格から見た1日の必要摂取エネルギー量をきちんと把握することが大切です。

こちらは農林水産省のHPです。
年齢や活動量からみる1日に必要な摂取エネルギーと、それに必要な栄養素について書いてあります。ご参考ください。

また、働く人に多いのは、残業によって夕食後から寝るまでの時間があまりあいていないという方です。

食べたものを消化するには約2~3時間かかります。
そのため、寝る前3時間は何も食べないのが理想ですが、どうしても難しいと話される方も多いです。

その場合は、残業時間に主食のおにぎりなどを摂取し、帰宅後はおかずだけを摂取するという分食をお勧めしています。

寝る前に食事を控えた方が良い理由は他にもあります。
それは、寝るまでに消化が終わらず、余った糖や脂質が脂肪に置き換わってしまうこと。

また、寝る前に食事を摂取することで血糖が上がってしまい、疲労回復が困難になること。その結果、寝ても疲れが取れない状況に陥ります。

食事内容によっては、翌朝胃もたれや満腹感が生じて、朝食を抜くという悪循環が生まれる可能性もあります。
これらの理由から、寝る前の食事は控えた方が賢明です。

運動・活動不足

エネルギー消費量の一つである身体活動量を上げるためには、活動量や運動量を増やす必要があります。

しかし、現代社会は主にデスクワークで時間外勤務も多いため、体を動かす時間がないと嘆く方が多いです。
その気持ちはよく分かります💦

そんな方にお伝えしているのは、1日+10分、日常生活の中で体を動かす時間を増やすということ。

わざわざ着替えて運動をしなくても、一駅分歩く、エレベーターを階段に変える、わざと遠回りして買い物に行く、テレビを見ながらスクワットする、など方法はたくさんあります。

無理なくできそうなことを取り入れてみて下さい。

これ以上体重を増やさないために

ここまでのお話で、体重の増減に関する仕組みは分かっていただけたと思います。

では、体重を維持するために必要なことは何なのか?
・健康的な食習慣を取り入れる
・1日+10分の身体運動を追加する

それ以外にもう一つ大切なことがあります。

体重を測る習慣を身に付ける

まずは体重を測る習慣を身に付けましょう。
毎日測定する必要はありませんが、「1週間に1回」、「1か月に1回」もしくは「思い出したときに乗る」でも良いです。

大事なのは、いつ頃から体重に変動があったのか、ということが分かれば良いのです。
冒頭の質問「昔の体重からは考えられないんだけど…」ですが、いつから変化があったのかが分かりません。

急激な変動だったのか、徐々に変化があったのか。
どちらなのかによって、原因の振り返りや対策の立て方も異なるため、まずはご自身の体に興味を持って体重を測ることから始めましょう。

記録をつける

体重を測ったら、ついでに記録しましょう。

体重は前日の食事摂取量や水分量、発汗量などの影響で、日々小さな変動があります。
そのため、その日その日で一喜一憂する必要はありません

ただし、体重増加や体重減少は、アップダウンを繰り返しながら、長期的に上がるか、下がるか、横ばいか、になります。

今はスマートフォンのアプリなど記録するのに便利なツールもありますが、ノートに記録していただいても構いません。

ただし、数値で書くよりも折れ線グラフで記録をするのがおすすめです。
その方が長期的に見た時に、体重変動が一目で見れるため効果的です。

まとめ

まとめとして、今日から取り組めることを3つ。

①エネルギー摂取量と消費量のバランスを考える
②食習慣や運動習慣を見直す
③体重測定を行い、記録する

②が一番難しいと思いますが、①ができると自ずと食事摂取量や運動を意識すると思いますので、ぜひ①、③から始めてみてくださいね。

ご質問がありましたら、Healthier Lifeまでご連絡下さい。

長文になりましたが、今日もお読みいただきありがとうございました。

いいなと思ったら応援しよう!