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【学習コミュニティづくりに興味のある方に】学級経営で大事にしている考え方とは?

新年に入り、3日目を迎えました。毎日温泉に入りながら、2024年を振り返り、2025年のあり方について考えています。

2024年の私のキーワードは「学習コミュニティ」でした。
どのようにしたら学習コミュニティをつくることができるのかを試行錯誤しながら実践をしてきました。私の中で大きく2つの場で学習コミュニティをつくるプロセスのマネジメントをしてきました。

・ 「学級経営」

まず、私が2024年に一番力を入れたのは、今勤めている学校におけるクラスのマネジメント(学級経営)です。人生で2度目となるクラス担任をする中で、5/6年生の複式学級の担任をする機会をいただきました。昨年度の学級経営では、初めてのIB、中等部の数学も担いながらのクラス担任だったということもあり、学級の中で起きている現象を丁寧に見とることが難しい状況でもありました。
今年度の学級づくりも1学期、2学期を終えいよいよ3学期を迎えます。私の中で、3学期制ということもあり、1年間を3等分して、クラス全体のマネジメントを意識しています。

コンフォートゾーン(1学期)

学級開きで最初に伝えたことは「フェスティナ・レンテ」です。

「ゆっくり急げ」(ラテン語:Festina lente フェスティナ・レンテ)は、ヨーロッパで古くから用いられている格言。「良い結果により早く至るためにはゆっくり行くのが良い」、または「歩みが遅すぎても求める結果は得られない」を同時に意味する。

引用:Wikipedia

「どうしても、新しいコミュニティでのスタートは、忙しなく始まってしまい、急いでクラスのシステムや文化を最初に固めてしまうことって起こりうるのではないでしょうか?」
もちろん、文化やシステムを最初に共有するからこそ、新しいコミュニティでの暮らしが、早く機能するメリットはありますが、そもそも給食当番や掃除当番、学級目標のようなクラスの約束事を決める目的とは一体何なのでしょうか?学級でのマネジメントを早く機能させることだけが目的なのでしょうか?ここをもう一度問い直し、意図を明確にすることで、1学期の学級の開き方のアプローチ方法が変わってくると思います。

私は、クラスづくりの先にあるのは、苫野一徳さんが述べている「自由の相互承認の感度を育む」ことにあるのではないかと考えています。私なりの解釈としては、「子どもたち一人ひとりがコミュニティの中で自由に生きる力を育む」ことをサポートすることが大人の役割であると考えています。そのために、学級におけるシステムや文化はどのように構築していくと良いのでしょうか?

「大人のこれまでの経験から、学級経営がはやくうまくいくようにシステムや学級のルールづくりのガイドをしていくことがいいのでしょうか?」

「或いは、子どもたちの自主性を最大限に尊重して任せることが良いのでしょうか?」

もちろん、子どもの発達段階やその学級が置かれている社会やコミュニティの文脈によっても、どのように学級づくりのアプローチしていくのかは変わってくると思います。大人がどの程度介入するかどうかは、コミュニティの目的や、コミュニティにいる子どもたちの現在地によってグラデーションで変わってくると思います。

私が参考にしている考え方は以下のnoteに分かりやすく言語化されています。

以下のnoteに、フィンランドで学んだ「ゆっくり、はじめる」考え方とクラスづくりでやってみたことをまとめてみました。

まずは、新しいクラスで1学期を終えて、少しずつ安心できるコミュニティがベースになり、2学期をどのようにデザインしたのかをまとめてみます。

ストレッチゾーン(2学期)

2学期のテーマはストレッチゾーンです。ベースにしている考え方は、ヴィゴツキーの発達の最近接領域になります。この理論の考え方をベースにするには、1学期間に大事にしてきた安心して学べるコミュニティの基盤が重要になります。1学期に形成し始めたコンフォートゾーンの土台の上に、2学期はクラスメイトと、ともに学び合うことで、一人ひとりの成長がグッと引き上げられるデザインを意識しながら取り組んでいきました。

実践の1つとして、48時間の寝食を共にする学校キャンプを子どもの声から企画を立ち上げ、企画の殆どを子どもたちに委ねて実施しました。キャンプの中では、大きくぶつかる場面もありましたが、普段の学校生活とは異なり、双方の意見をゆっくり共有することで対立を乗り越えるところまで向き合うことができていました。

また、2学期は「仲の良いクラス(コンフォートゾーン)→学習コミュニティ(ストレッチゾーン)に引き上げるためにはどうしたら良いのか?」「仲の良いクラスと学習コミュニティは何が異なるのか?」についてもクラス会議の中でクラス全体で考えることで、クラス内で共通言語を育んでいくことを大切にしました。

仲の良いクラスから、学習コミュニティに引き上げていくためのアプローチとして、教師と児童で評価する人と評価される人という関係性を育むのではなく、クラスメイト同士で相互にフィードバックをしたり、相互評価する機会を増やしていきました。通知表では、一人ひとりにルーブリック評価の自己評価とその根拠となるものを証拠として集めてもらい、クラスメイト同士で説明し合うことで、自分の現在地を知ることに繋がったり、クラスメイトと学ぶことで、自分の理解が広がったり深まったりする経験をどれだけデザインできるかを大事にしてきました。

そんな、2学期は子どもたちをストレッチゾーンに引き上げていくために、学校行事やイベントが多かったり、総括課題を学校外の社会ででアウトプットする機会をつくったりとすることで、私自身も余裕がなくなり、子ども一人一人の声を丁寧に聞くことができなかったり、基礎学習の面で一人ひとりの伴奏が丁寧にできなかったりと、かなりストレッチゾーンが多めの設計になっていたかもしれないと振り返りの中で感じることもありました。

これに気づけたのは、私は学期終わりに毎回子どもたちに通知表と同じ項目で書いてもらっているレポートカードの機会を設けているからです。

この先生へのレポートカードの最後の質問に「先生に何か改善してほしいことがありますか?」という問いに対して「話を最後まで聞いてほしい」と書かれていました。学級経営をする上で、一人ひとりの声を聞こうと思っていても、なかなか全体をマネジメントすることに追われて、子どもの話を最後まで聞けていない、寧ろ話を遮ってしまっていることもあったなと思い当たる節はたくさんありました。こうして素直な声を出してくれることが、私に見えていない視点を届けてくれるので、貴重な機会になっています。

手放す(3学期)

いよいよ、3学期を迎えるにあたり、どのようにして1年間を着地させていくのかを考えています。2学期のストレッチゾーンを経て、いよいよ3学期は「手放す」フェーズに入っていきます。学校全体としても、イベントの機会も減っていくので、外発的なものに追われず、じっくり自分と向き合う時間が確保できるようになります。クラス運営に関しては子どもたちが自分たちでマネジメントできる機会をつくれるデザインを意識していきます。
このように考える意図は2つあります。
1つ目は、私の教育観として「自立した学習者/学習コミュニティ」になるサポートをすることを大事にしているので、最後まで担任がクラスや一人一人を引っ張っていくという考え方ではなく、子どもたちがこれまでに育んできた知識やスキルを活用できる機会のデザインをすることで、学んできたことを転移するところまで引き上げられたらと考えています。
2つ目は、先生へのレポートカードに書かれてあった「最後まで話を聞いてほしい。」という言葉から気づきをもらいました。振り返ると、2学期は時間的にも精神的にも余白がなかった時間が多く、子ども一人ひとりの声をじっくり聞くことができないこともありました。そこで、余白を意図的につくることで、一人一人と丁寧に向き合える環境のデザインを意識していこうと思いました。

・私の目指す学習コミュニティ

最後に、年始めに温泉に入りながら浮かび上がってきた目標がありました。気づいたら、心地よさを感じている自分がいて、「なぜ、こんなにも心地よさを感じているのか?」を温泉を出た後に言語化をしてみました。

言語化して見えてきた私の2025年の目標です。

「自分自身も、コミュニティも温泉と水風呂を自分(たち)で行き来できるような場をデザインしていく」

温泉で感じた心地よさの背景を考えると、温泉の質、温度、人の混み具合の要素が出てきました。この温泉は、地元の人に親しまれている温泉で、比較的空いており、さらに、温泉の質も自分の身体に合っており、温泉と水風呂の温度加減も心地よく、色々な要素が絡み合って、心地よさを感じていました。

ここから得た着想として以下のようなものがあります。

・心地よさは、自分自身の選択によって生まれること
・心地よさのベースにはコンフォートな場があること(温泉)
・適度なストレッチゾーン(水風呂)が心地よさを生み出すこと
・適度な人数が心理的な安全と対話的関係性を育み、心地よさを生む

この心地よさは、自分の心と体で感じた心地よさでもあるので、コミュニティづくりにおいてもかなり再現性が高く応用できそうだと感じています。私の学級づくりを振り返ると…ちょっと水風呂の温度が冷たすぎたかもしれない、水風呂に入る機会を作りすぎたかもしれない、大人が水風呂の機会をつくりすぎて、子どもの選択が大事にできていなかったかもしれない。

もちろん、大人がガイドして成長に引き上げる時期も大事ではありながら、温泉と水風呂の行ったり来たりのバランス加減を保つからこそ、生まれるものもあったと感じました。

やっぱり、コミュニティをつくっていくことって、人が相互作用しながら成長していくプロセスにおいてとても価値のあることだと感じています。

2025年は沖永良部島での教育コミュニティづくり(まちづくり)の実践、フィンランドで教育実習をするプログラムのコミュニティづくりの実践、学校現場における学習コミュニティづくりの実践を試行錯誤を続けていけたらと思っているので、またnoteに「学習コミュニティ」をテーマにまとめていけたらと思います。

いつも読んでいただきありがとうございます。

moimoi!




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