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旅のわだち4
旅と本について。
まず外せないのは学生時代に読んだ「深夜特急」(86年〜/沢木耕太郎)。“ここではない何処かへ”を焚きつけられたのは「青春の門」(89年〜/五木寛之)とか「竜馬がゆく」(74年/司馬遼太郎)だったと思う。
マシンガンを持った兵士があちこちで立っているぐらい治安が悪かったフィリピン・ミンダナオ島。暗いゲストハウスで読んだ「堕落論」 (坂口安吾)の、どんと暗く落ち込んだ読後感は忘れない。
「12万円で世界を歩く」(90年)の下川裕治はバックパッカーたちによく読まれていた。
僕が、一人旅に出かける友人にプレゼントしたい文庫は「世界は『使われなかった人生』であふれている」(07年)と「『愛』という言葉を口にできなかった二人のために」(10年)かな。沢木耕太郎の映画評的エッセイ集。
サンディエゴのモーテルのプールサイドで読み終えたのは「いねむり先生」(11年/伊集院 静)。伊集院の日本語使いは素敵で、「乳房」(91年)や「受け月」(92年)など、日本語が恋しくなった時用に持っていくと良い。
食文化への関心のきっかけは「もの食う人びと」(97年/辺見 庸)。海外サッカーのきっかけはもちろん「世界サッカー紀行」(97年/後藤 健生)。
モントレー・サリナスまで出かけて映画冒頭のキャベツ畑を流れる雲の影を見たのは、ジョン・スタインベックの「エデンの東」。ハードカバーの「新訳版」 (05年)は今も大切に書棚に置いている。
映画の原作なら「モーターサイクル・ダイアリーズ」(04年/チェ・ゲバラ)。「チェ・ゲバラ伝」(98年/三好徹)も面白い。旅に出たくなる。
機内で読んだ「行かずに死ねるか!世界9万5000km自転車ひとり旅」 (07年/石田ゆうすけ)。短期旅行ばかりの僕には、時間に囚われないで思うままに旅を続けることは何より贅沢に映る。
やはり機内で読んだ「ぼくがいま、死について思うこと」 (15年/椎名 誠)。椎名の見た世界の葬儀と、親しい仲間との別れについて綴っている。後半人生を考え始めた僕には印象深い。
世界史への関心を加速してくれたのは、1か月のフランス旅行中に読んだ「物語 フランス革命」(08年/安達 正勝)。バスチーユ襲撃からナポレオン登場まで。「自由と平等」のための革命の産物ネイションステートの概念は、今僕たちの、日本人という意識に繋がっている。