読み終えた「ローマ人の物語」のページを折った部分を見返して #03
「勝者の混迷 上下」
カルタゴを滅亡させ地中海世界の覇者となってから、オリエントを平定したポンペイス登場までを描いている。
名将スキピオと英雄カエサルの間、共和政後半のこの時代はなんといってもこの人が傑出している。
今でいう賃貸アパート育ちで、娼婦に貢がせて学問を得たというコルネリウス・スッラ。
30代から頭角を現し数々の改革を進め、56歳でローマ史上最初の任期無期限の独裁官に就任する。
スッラの真骨頂は、独裁官就任の2年後の市民集会での辞任表明。何の前触れもなく演壇上で宣言して24人の護衛の解任も告げたという。
「権力に執着しない潔い行為」というよりも、自分がやった国政改革を完全にするため、元老院主導の秩序を守るために辞任を選んだというのが著者の見方。
一市民の身になってローマを離れ南の海の近くの別荘で、釣りや散策をし回想録を書いて暮らした晩年だったという。