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杜子春 芥川龍之介
30分で読める古典文学の紹介です。
~あらすじ~
一番商売が盛んだったころの洛陽でのお話。
杜子春は裕福な家の息子だったが、散財。寝食に困り、死んでしまおうかと愚痴っていたところに通りかかった老人が、大金の在り処を教える。
そこを掘り返した杜子春は贅沢な暮らしを取り戻すが、浪費するだけの生活は長く続かない。
再び老人に会って富を得たが、一文無しに。
金によって態度の変わる人間に愛想が尽き、老人に弟子にしてほしいと頼む。
何があっても喋るなと言われた杜子春は、どんな仕打ちを受けても口を開かなかった。しかし、馬に変えられた両親を痛めつける閻魔に、声を上げそうになる。
葛藤する杜子春に、母親は「お前が言いたくないのならいい。」と自身が負傷する中で愛情を示す。
杜子春はその姿に「母さん」と零した。
口を聞いてしまったと反省する杜子春に、老人は何も言わなかったら私がお前を殺していたと話す。
杜子春の望みは、「ただ普通に生活すること」になっていた。
🟡好きなところ
化け物が出てくるところ。殺人より酷いことするんですよね、幼稚な悪意というか。
化け物はよく漫画や絵で見かけますが、
自己内省における誘惑や不安を目に見えるようにしている手段としても使えそうだな~、と。
衝動を抑える自分と欲求に反応してしまう自分。自己認知を鍛える本でも、あだ名をつけるというワークが紹介されていました。化け物のイメージをストックするのも楽しそうです。
蛇足にはなりますが、
三十三間堂で仏像たちを目にしたとき、「救われたい」気持ちに圧を感じてしばらく動けませんでした。化け物ではないですが執念の怖さを感じるので、オススメです。