モヤっときたら、古典にあたれ!『そして誰もいなくなった』アガサ・クリスティー
先日、パートナーとミステリーについて色々話していました。パートナーは、大のミステリー好きです。
わたしもミステリー嫌いではないのですが、以前別のnoteにも書いたように読者の裏を書こうとトリックに重きを置きすぎたものよりは、人間ドラマというか、人間にフォーカスしたものがスキという話をしていました。
わたし自身のミステリーの入り口は、赤川次郎さんの作品をとにかく読みまくり、結婚後パートナーの本棚にあった伊坂幸太郎さん作品をこれまた読みまくっており、ミステリーという分野に対して食わず嫌いではないのですが、ちょっとモヤってしていました。
特に、昨年は『方舟』や『名探偵のままでいて』、「葉桜」や「世界で一番透きとおった」(どちらも略称)に触れた年であり、読書量を増やしたために、”ミステリーモヤモヤ”がわたしのなかで再燃したという言い方が正しいのかもしれません。
「このミス」よりは「本屋大賞」を追うわたし。段々この話は、「わたしはミステリー好きなのかどうかを何を持って判断すればいいのか」という軸に変わっていきました。そこで、パートナーから入れた一言。
超名作を読んで決めればいい。
特にわたしの好きな”大どんでん返し系”。歴代人気作品として必ず名前が挙がるアガサ・クリスティー「そして誰もいなくなった」にすることにしました。
色々調べたミステリーサイトの他にも、わたしが大好きなブックカバーで有名な正和堂書店さんも取り上げていました!
このワクワク感こそ、ミステリー!!
結論、メチャメチャ面白かったです!!*名作中の名作なので当たり前
わたしが読んだのは、2010年初版の新しめのものですが、まず冒頭の寄稿文。ゆかりのある方から作品の全体像が語られますが、「やっぱりそうか」という程度の内容でネタバレにはならず最高の冒頭でした。
また、この版ではわたしが最初にミステリーに触れた赤川次郎さんが解説を書いてらっしゃいます。そこで書かれていたのは現代ミステリーへの提言や、同じミステリの他ジャンルをあまり読まないお話。
そんな赤川さんが最も衝撃を受け目指しているのが、この『そして誰もいなくなった』というお話でした。
さらにさらに、帯には湊かなえさんが絶賛している帯が。『告白』であまりに衝撃を受けたわたしとしては、既におなかいっぱい状態でした。
ちなみに、そんなアガサ・クリスティーさんご自身は、コナン・ドイルのシャーロックホームズに大きな影響を受けたと言います。
そういえば、改めて思い出してみると、親が買ってくれたホームズの傑作選があったからこそ、ミステリどうのこうのという癖にホームズは通ってきており、だからこそ、赤川さんの『三毛猫ホームズ』にスッと入ったということもあります。
全部繋がっていたことに衝撃を覚えると同時に、どうやら、わたしはミステリーの王道ど真ん中の系譜にいたようです!!自信を持ってミステリー好きを名乗るとともに、『名探偵のままでいて』に出てきた古典作品ももっと読んでみたいと思います!!
何がそんなに面白かったのか
前置きがだいぶ長くなってしまいましたが、作品自体の魅力についても解説していきたいと思います!もちろん、ネタバレはないのでご安心ください。
1.結末はわかっている
2.殺され方もほのめかされている
3.でも、展開がまるでわからない。
魅力としてはこの3つに集約されていると思います。そして、魅力的な人物の掘り下げ。発端となるのはそれぞれの人物が行ったことのため、必然的に過去や人柄にも触れることになるのですが、これがまた秀逸でした。
「古畑任三郎シリーズ」のように、犯人がわかっているところから始まってどうやって崩されるのだろうともちょっと違います。
結末はタイトル通り。ですが、そこにどう向かうのかもそうですし、それってそもそも…。
いや、本当にさすがでした!
ハヤカワ文庫の海外文学をもっと開拓する!
ハヤカワ文庫好きな方にはおなじみだと思うのですが、実は海外文学を多く扱っているハヤカワ文庫は、他の文庫より本自体の高さがあります。
そのため、出勤時などに持ち歩いて読むということがやりにくかったのですが、昨年のクリスマスプレゼントでハヤカワ文庫対応のブックカバーをもらったので、改めて加速していきたいと思います!
思い返せば、メチャメチャ影響を受けた『アルジャーノンに花束を』もハヤカワ文庫でした!
本棚に控えているカズオイシグロさんの『わたしを離さないで』や、以前スイさんに選書してもらった本も海外文庫のものがあるので、海外文庫どんどん開拓していきます!
▽スイさんの「選書サービス」を初めて受けて感動した話