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表現者に、刺さる|『何者』朝井リョウ
『ルックバック』がクリエイター特効がついている作品だとするならば、朝井リョウ著『何者』は表現者特効がついている。
今回は、そんな『何者』について語っていきたいと思います。
*ネタバレはないのでご安心ください。
影響を受けた上司が、影響を受けた本
この本は、適応障害から復職後にポジションアップに大きく関わった上司が言っていた本でした。現在、そのメンバーは別な道を歩んでいますが、作中のメンバーのように、就職活動の方向性そのものを変えたという本。
直木賞受賞作であり、朝井リョウさんの作品も最近はよくタイムラインで見かけます。朝井さんの作品を読むなら、かつての上司も言っていた『何者』からというのは、わたしにとっては自然な流れでした。
思い出す、大学での就活
わたし自身の就活は、既に20年弱ほど昔の話です。当時はスマホもSNSも未発達でしたが、ただ、この周りの出方を探りながら情報交換し、大手や有名企業の内定獲得合戦の雰囲気は正にでした。
特に、わたし自身は大学での活動が学内で評価されていたこともあり、完全に社会を舐め腐っていた始末で、何というか獣道を無理に進んでいくような、全身に小さい傷をつけながら読み進んでいく感覚でした。
色々と「イタい」感じの大学生が目につきます。キラキラSNSの裏側も。
しかし、本当に驚いたのは最終章でした。
すべての表現者に告ぐ
もうね。全部書いてあります。表現者として言われたいこと。そして、言われたくないことが。その前の本音パートでもだいぶ刺さるものがあったのですが、この構成は本当にさすがでした。
そして、もう一つ。このことを書くということは、決して、朝井さんご自身にとっても簡単なことではなかったはずです。特に本作が受賞した後、この内容は自分自身にも刃として跳ね返ってくることにもなるでしょう。
しかし、ご存じの通り、この後もしっかりとヒット作を出し続ける朝井リョウさんにいい意味でゾッとした作品でした。
元々、最初から面白く軽快に読み進めていたのですが、最後の章の衝撃は『方舟』に通じるものがありました。
他の朝井リョウさん作品に興味が出たのと、上司が言っていたことも納得の一冊でした。
▽超豪華キャストで実写映画化もされています!
トップ画像は、飯田理湖(ia19200102)さんのイラストを使わせていただきました!
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