雪は溶けた
時間が経てば雪が溶けるように、時間が経てば気持ちも溶ける。
だけど、跡形もなく溶ける雪と違って、気持ちは落ち葉のように掃き掃除をしなければならない。
たくさん吐いて吐き出して、やっと跡形もなくなる。
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最近私の周りでは、好きの定義だとか恋愛観だとかについての話題が盛り上がる。
好きな人とは何か
とある小説には、美味しいご飯を食べたときに、それを食べさせてあげたいと思い浮かべる人のことだと描かれていた。
雪見だいふくを1つあげられるだとか、ショートケーキに乗ったイチゴをあげられるだとかよりも、幾分も誠実だと思った。
私の部屋の本棚には、試着室で思い出したら本気の恋だと思うというタイトルがついた小説がある。
繰り返し読んだ本の1つだ。
私は、この本を恋人との関係性に悩んだ時に読む。恋愛の啓発本のように思っている。
登場人物の"彼女"達は試着室の中で"彼"のことを思い出しつつその服を身に繕った自分の姿を投影する。
私はいつだって、1番は自分のために服を買って着たい。
美味しい食べ物を食べた時、食べさせてあげたいなと誰かを思い浮かべたことはない。もしかしたら、覚えてないだけかもだけど。でも、試着室で思い出したことはある。それを着て、その時恋をしていた人の横を歩く自分の姿を想像しながら
いつか、美味しい食べ物を食べた時、食べさせてあげたいなと思い浮かべる恋をしたいと強く思う。
p.s.
元彼への未練はもう微々たるものだけど、それでもまだツイートで吐き出させてほしい。掃き掃除をさせてほしい。あと少しで忘れられそうだから。