【viva不登校】第6話 あれが「始まり」だった
「異変」に気づく
第6話からは、息子と我々のことを時系列に記していく。振り返れば、昨年の4月。6年生としての新学期が始まってすぐのことだ。息子の様子がおかしい。明らかにおかしいのだ。
5年生の頃は、「宿題は自らやらない」「学校の準備は朝出る間際」など、いわゆる子供らしい5年生だった。今思い返せば、とても愛らしく、自分らしく生きている姿だった。その息子が、新学期に入り、途端に「宿題を自らやる」「学校の準備を事前にやる」など、急変した。
「6年生に上がってめっちゃいい子になってるやん。」
正直、そう思っていた。もっと言えば、
「担任の先生、素晴らしい」
「子供は自分で成長していく」
持ち前のポジティブシンキングをいかんなく発揮していた。love 自分。
ただ、しばらくすると、その様子があまりにも急激な変化であったこと、そして何より、息子の向き合い方が尋常ではないくらい「細かい」ものだったことに違和感を持つようになった。例えば、宿題。宿題の範囲の確認を何度も友達に電話をして確認する。学校の準備。持ち物が間違っていないか?近所の友達まで聞きに行く。
「息子の様子が何かおかしい。」
一抹の不安を覚えたものの、その時はそこまで気にしなかった。
未だポジティブシンキングをいかんなく発揮中。love 自分。
それがその後に暴発することになるとは思いもよらなかった。(後から知った話だが、心療内科の先生曰く、「過剰な確認」は、「不安(神経)症」の代表的な行動例らしい。)
「不安」と戦う
息子が異常なまでに「確認」という行為を繰り返す、この背後に何があるのか。
それは「不安」だ。「宿題を間違えたら先生に怒られる」「忘れ物をしたら先生に怒られる」、彼はその「不安」と毎日戦っていたのだ。そんなこととは全く知らず、「もし間違えても先生に話すれば大丈夫だよ」と。
受け流していた。鮮やかに。右から左に。
但し、息子の通っていた教室では、それが許されなかったのだ。毎日、「忘れ物をした子」は先生から理不尽とも言える指導を受けていたようである。口が重たい息子からは詳しい事情は聞くことができなかったが。息子はその「不安」と戦う中で、少しずつ「恐れ」を持つようになり、だんだんと心に「鎧」を纏うようになっていったのではないだろうか。その鎧は堅く、彼はその隙間から世界を覗きこむようになっていった。
そのまま夏休みに突入し、夏休み明けから、エキサイティングな日々が待っていた。そんなこととは露知らず、私は夏の日差しでいい具合に焼けたエロオヤジ風になっていた。
viva不登校。