「ロシアは国際的に完全に孤立している」との見方は国際社会の実態を表してはいない件
『西側諸国では「ロシアは国際的に完全に孤立している」との見方が常識となっているが、国際社会の実態を表してはいない。』、『注目すべきはBRICS(2000年代以降に著しく経済発展を遂げた5カ国)を構成する中国、インド、ブラジル、南アフリカが揃ってロシアを非難する国連決議を棄権し、ロシアに制裁を科していないこと』(以上、記事より)。…少なからずショッキングな事実である。
これらBRICSは、今般の、ロシアの国連人権理事会での理事国資格を停止する決議案にも反対ないし棄権票を投じているが、思えば、当事者ロシアを含むBRICS各国は、(中国を除いて制度上代議制ではあっても)社会的に人権意識に欠ける面が少なくないとみることができよう。そもそも2000年代以降のグローバル経済とは、新自由主義における市場原理万能=弱肉強食、自己責任、自分ファースト路線、あるいは中国のような(往々にして国家の利権が絡む)自由放任経済の不正を国家権力で覆い隠し得る、自由市場・国家統制ハイブリッド型の究極的な自国ファースト路線が富める者と富まざる者の格差を助長する中で、社会的にも制度的にも富まざる者の人権が蔑ろにされ続け、どんどんエスカレートしてきた時代であり、人権をほぼほぼ慮ることなく経済発展に(そして中・露・印においては軍拡にも)注力できたBRICSが(国家として)我が世の春を謳歌するに至ったのは当然の帰結かもしれない。
そして彼等の価値観は関係の途上国をも囲い込み、今般の決議案では反対24、棄権58、合わせて82ヶ国に至り、賛成93ヶ国と拮抗する(人口規模では大きく上回る)状況となっているわけで…世界の国々を民主主義と権威主義に分けると、実態として後者(「民主主義」を標榜するも事実上の独裁が多い)は前者を国数で凌駕するという点からみても、G7を含む西側諸国の〝常識〟は国際社会のそれとは必ずしも一致せず、そして記事のように、超大国アメリカの凋落とともに、核を持つ権威主義国家の前では当の米国を含む西側全体が束でかかっても軍事的プレゼンスはおろか経済制裁も〝痛み分け〟を覚悟しなければ功を奏しないという悲劇的な現実を突きつけられたのが今回の侵略戦争ということになるのだろう。
話を経済に戻すが、新自由主義に対峙するものとして「共同体主義」という概念がある。資本主義の内部で共同体の価値を実現しようとするもので、個人を共同体に隷属させ共同体のために個人の自由や権利を犠牲にしても構わないといった全体主義~国家主義ではなく(国家は共同体を超えた権力装置とみなされる)、国家はむしろ既存の地域共同体を破壊させて成立したという歴史観から、現代の民主主義下においてもなお国家(権力)の縮小と分権化こそ、共同体の再生にふさわしいとみなされる。今後、(ロシア〝プーチン帝国〟の侵略戦争を経て)経済的に弱体化が進むであろう西側諸国は、経済成長一辺倒(=原理的な資本主義の価値追求)ではない、人権尊重を念頭に、この共同体主義に根ざした(自己責任論を避けて共助[…社会的に]~セーフティネットを充実[…制度的に]、富まざる者を遍く救う)国家像(=共同体の集合体としての国のかたち)を体現することによる〝進歩した〟民主主義を世界に知らしめることで、全体として物質的に豊かでも個々人が報われることのない権威主義や(「民主主義」を標榜するも人権軽視の)新自由主義が如何に不幸な国家像であるかを世界市民に悟らせることでしか、第二、第三の〝プーチン帝国〟(←あまりに強大な候補者が共産党独裁の中国であるが…)の出現、暴走を抑え込むことができないのかもしれない。そして抑え込みを逸した時こそ(全面核戦争のみならず、中長期的には地球環境等多くのリスク要因により)人類は滅亡の危機に陥ることだろう。
【見出し画像についてのコメント】
こういうビジュアルで示されると、途方に暮れざるを得ない。…喜び勇んで挙げてる向きのベクトルとして、純粋に共産主義シンパとかディープステイト云々とかよりも、単に米国憎しという印象がある。…各自、冷静になっていただきたい。
(別の方のフェイスブック投稿への)コメント転記
『自国ファーストだし、中露にモノが言えない事情を抱えた国も多いんですよ。その点、日本もアメリカ様のポチですけど…』
【2022.7.31 NHKスペシャル「混迷の世紀」の放送を受けて…追記】
産業のグローバル化が世界中で少しでもコスパの優れた市場を求め、我が国の地域経済(→空洞化)、ひいては国の経済全体(→属国化)を疲弊させるに至ったことは今や周知と言えようが、さらにその節操なさ(行きついた市場の国家・社会の体制を問わないこと)がここへ来てこれほどまでに世界情勢に悪影響を及ぼそうとは・・・本来、「グローバリズム」とは、世界を一つの共同体と捉えており平和や友好がセットな概念だけに、何とも皮肉な話である。
https://www.youtube.com/watch?v=k19XuRyL5WQ
【引用元の記事】
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