「不協和音スレスレのスクールライフ・コメディ!」を地で行く「2023年上半期 アニメランキング」1位の良アニメ「スキップとローファー」
国内最大級の映画やドラマ、アニメのレビューサービス「Filmarks」による「2023年上半期 アニメランキング」で、先月惜しまれながら最終話を迎えた「スキップとローファー」が1位に選出されたそうです。
自分は比較的アニメも見る方ですが、全てを網羅するにはさすがに時間が足りないので、自分が信頼している配信者の情報などを元に視聴する作品を選んだりしています。
本作はまさにこのパターンで、”ぼざろ”もそうでしたが絵柄から内容を軽く見ていてノーチェックだったところ、推薦動画を見て面白そうだなと視聴を始めた作品でした。
前述の通り、「【推しの子】」や「鬼滅の刃」「Dr.STONE」といった注目・人気作を押しのけて1位評価になっているワケなので、今更自分が紹介する必要もないのですが、知り合いにおススメしてもなかなか実際に視聴するまでに至る人がいなかったりしてるので、このタイミングで改めて案内しておきたいと記事にしてみました。
▼まさかの”モブ顔”主人公
本作は、”圧倒的モブ感”のある主人公「岩倉 美津未」が、上京した都会の学校を舞台に、地元の田舎で培った擦れてないモノの見方で回りを巻き込んでみんなを元気にしていく、みたいなフレッシュなコメディ作品となっています。
この”モブ顔のヒロイン”というのが、初見には入っていきづらく、また周りの友達や先輩もイケメン、今時女子、オタク、美女、堅物・・・と、一見テンプレ風のキャラクターのオンパレードでハイハイ、こういう感じね・・・みたいな油断させる構成になっています。
▼逆転の視聴感
しかし、実際に見てみるとそうした先入観を逆手に取ったような、こうなると思ったらもう一歩踏み込んでそうなるの!?という、深掘りしたキャラクター像が垣間見えてきて、それを主人公のフラットな視点やちょっとした勇気が影響を与えて、周りもまた少しづつ変わっていくという、やってることはバトル漫画で相手を倒して仲間にしていくという展開を内面で行うみたいな、なかなか目新しい印象のアニメとなっていました。
具体的には、
みたいな、テンプレのその先にあるそれぞれのキャラクターの内面や葛藤が鮮やかに描かれ、それをいい意味で主人公が気を遣わずに、彼らのパーソナルスペースにずかずかと踏み込んで解決のためのキッカケを与えていく、といった形で展開していきます。
▼少女漫画と思ったらヒーローものだった
こちらのインタビューを見ると、監督は主人公の美津未をヒーローとして描いているなんてコメントがありましたが、まさにそんな印象で、本作の「ときどき不協和音スレスレ?だけど、 いつのまにかハッピーなスクールライフ・コメディ!」というキャッチコピーを地で行く、リアルでちょっとしんどいサゲ展開からのアッパームーブでさわやかな視聴後感のある、良作に仕上がっていると思いました。
自分も作り手の一人として、物語を作る際のキャラクター設定についついテンプレ設定を持ってきてしまいがちですが、こうやって深掘りしてリアリティを与えていけば良いのかと、メチャメチャ参考になりました(ありがとうございます)。
▼絶妙な匙加減の演出の妙と丁寧な仕上げが共感を生む
ただこれ、匙加減が結構難しく、主人公の行動が無神経な感じになってしまうと共感性が得られず、ウザい奴と捉えられてしまうところを絶妙な塩梅で美津未の(やりすぎちゃったなという)失敗や後悔を交えながら、主人公もただの天然や完璧じゃない人間として成長を描くことで、親近感を沸かせることに成功しています。
この辺りは、こちらのインタビューにあるように、ルックやテンポ、映像のテーマなどアニメ化に当たって様々な要素に気を遣って丁寧に仕上げた演出と、監督を始め女性陣多めのスタッフの繊細な感性が効果的だったのではないかと感じました。
▼おまけ
ところで、主演の”黒沢ともよ”さんについては、自分は勉強不足であまり知らなかったのですが、美津未の独特のモブ顔にも合っていて(失礼)、すごいハマっていたと思いました。
近年、クレヨンしんちゃんや名探偵コナンなど、国民的長寿アニメの声優交代も話題になったりしていますが、ちびまる子ちゃんのまるちゃん役のTARAKOさんもかなり独特な声なので、後釜とかいるのかなとか勝手に心配していましたが、この人とかだったら全然できそうですし、余計な心配だったなと安心しました。