「宿根草の庭」母の庭づくり #3 母がデストロイヤーになる瞬間、紫木蓮に当たらないで・・
宿根草というより、庭木に入るが。
紫木蓮は、母の在所からもらい受け、植え付けたもので、何かしら、季節になると、「紫木蓮、紫木蓮」と言い出す。
母の頭の中も、最近混乱してきたようなので、本当に在所からもらい受けたものなのか、実のところ、曖昧である。
ある日、「おじいさんと、白がいいか、紫がいいか悩んだ、白は、すぐ散るし、散ったあと、なんかむさ苦しいから・・」という話も聞いた。
先日、母の様子がおかしかった。あれだけ、大事にしていた紫木蓮を、もう花芽ができているのに、大胆に剪定してしまった。
一輪車の荷台に、その残骸があり、一輪車を動かせるのは、やはり、母しかいない。
その残骸をゴミ袋に片付けながら、あら、花芽がついているのに、一体どうしたことか?
いつもの、母の心内の爆発で、デストロイヤーになる瞬間がある。それだ!!
誕生日を迎え、何か思うことがあったらしく、イヌツゲの気に入らないところも、一番下の下部を、短く切っていた。
更に、山茶花も、剪定していた。
本人の足腰には、負担になり無理な行動であっても、心中の爆発が起きると、抑えられない性格のようだ。過去には、自分の嫁入り道具の、お茶碗セットも、庭のそこら中で、バンバン割って、ばら撒いている。もちろん、庭、特に裏庭は、陶器やガラスの破片だらけ。
私が、現れると、「あんたがきたら、上部を切ってもらおうと思っていた・・」と。
ところが、私は、「紫木蓮の強い剪定は、10月ベストだから、もう少し待ちましょう」と。
無視するしかなかった。植物に人間様の心中の爆発で、当たり散らすのは、罪のない紫木蓮には、とても可哀想な仕打ちだと思った。それに絶対、あとで、後悔することも。
だから、私は、無視して、今やらなければならない、花が散った後のツツジの刈り込み剪定をやっていた。
「あのさあ、木香薔薇、シュートがちゃんと出てきたし、育っているから、それを大事に育てていけば、来年また、花が咲くから。今、支柱を立てて、紐で、結えてきた・・」と。
なるべく、母を落ち着かせるようと、別の花のことを言って、話題をそらしてみた。
精神不安の原因は、年金の改定書の通知のようだった。
⁑
紫木蓮の花を見ると、いつも魔女を思い浮かべてしまう。コロコロ気分が変わり、上部だけを気にして。
人間を見るのも、学歴、職歴、公務員と、窯焼き、とかで、比較したり、「あの子は、ダメな子」とか、「それでも高卒?」と、他人のことを言ったり。
まあ、そういう子供じみたところが、全然可愛くないのが本音。
魔女だ。そして、いつも、急に爆発する。その血が自分にも流れていて、私は、病気として、お薬を処方され、辛うじて抑えているが。
花言葉は、「高潔な心」
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日を改め、姉とメールのやり取りをしていて、結論がでた。
今は、もう、母の好きなようにやらせておくのが一番だと決めた。
一輪車が消えていた。姉が心配し、預かっているようだ。