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我が子をグローバル人材に育てる。親が意識しておきたいこと、できること。


“反抗期までに身につけたい!「育ちがよい子」と言われる世界基準のふるまいマナー” というテーマで、講師・金澤優子さんから話を伺った。

14年間で4都市を巡ったという海外生活の中、パリでフラワーアレンジメントを勉強され、イギリスで“英国式ティー&マナー・インストラクター”の資格を取得されたご経歴を持つ。

1時間強のお話は、ご自身のお子様との会話や、学校での出来事など具体的なエピソードが盛り込まれ、私の4年弱のロンドン在住時の体験と重なる部分が多かった。恐らく、私のような駐在の日本人海外在住者の“アルアル”だろう。

また、国際結婚をされ、海外で長年子育てをしているママ達にとっては、子育ての日常的な悩みだったり、疑問だったりするのだろうと察しがつく。
その位、海外に住むことは、日常が世界基準に晒されることになる。

今回、”マナー”という視点からお話を伺ったが、その根幹には、私が伝えたい “アートで自分を知り、アートで世界を広げる”という考えと共通の部分があると感じたので、それについて書こうと思う。


グローバル人材に育てるとは

お子様の教育に関し、親ができることは何か、するべきことは何かと試行錯誤し、時間・お金・労力を惜しみなく注ぐ人は多いと思う。

将来はグローバルに活躍して欲しいと思う親も少なくないだろう。
あるいは、“好きなことをやって生きていけるように”と願っても、何が好きになるか、どんな道を進むのかまだわからない幼児期〜思春期にかけて、将来の可能性を狭めないよう、できるだけ勉強ができるように、英語も話せるようにと準備するのが親心だ。

ただ、実際、海外生活を始めてみて、1日目から思い知らされたのは、英語力ではなかった。
自分がアジア人であり、日本人であることだ。
痛烈にその事実と向き合わなくてはいけなくなる。

自分の顔が、アジア人あるいは日本人という看板となって、それを常に掲げて存在しているかのような感覚だ。

だから、現地(海外)の人は、その看板をぶら下げている“日本人”に、日本のことを聞きたくなるし、日本人代表かのように“私”から日本人を投影して見たり、海外の人が知っている“日本”のナニガシは、当然日本人は知っていると思って話したりしてくる。

日本のこと、日本人のことをわかっていないと、一体自分は誰なんだろうと、アイデンティティが揺らぐ思いがする。

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そして、宗教とか文化とか歴史とか、ある程度の世界での常識を知らなければ、その土地でどう振る舞っていいか、どう発言していいかわからなくて動けなくなることもある。

何が”いけない”ことなのかがわからない、というのは恐ろしい。

“知らないこと”を知らない(わかっていない)時は、知らず知らずにタブーを犯すことになる。

もちろん、“世界の常識”が、文字通り、常識=”普通、一般人がもっているべき知識” であって、万人が知っている....ということはない。
世界中の人が存在する中で、文化も生活水準も違えば、生き抜くために必要な知識も異なるのは言うまでもない。

ただ、グローバルに活躍する大人になって欲しいだとか、英語力を身につけさせたいと思う親にとっては、世界の常識は、世界で活躍する人たちの常識と言えるだろう。

では、その“常識”とは何か。

それは、世界にいる様々な人種、ステータス、生い立ち、宗教の人々に対し、失礼のない社会的マナーやルールを、知識をベースとして身につけることだと思う。

人と人が共存する上で、それぞれが大切にしている信念や習慣・行動を他人が犯すことはあってはならないことだ。
それが社会生活におけるタブーであり、マナーであり、ルールである。


マナーのレッスンを聞いていて、アートと共通すると感じたのは、他者理解である。

マナーにも国の歴史的背景や宗教的背景があり、アートは、その歴史的背景や宗教的背景、そして社会を知るツールである。

マナーレッスンが、ある社会的ステータスのある人達の間で必要とされる振る舞いや知識だとすれば、アートレッスンから学べるのは、そのような社会になった背景や、歴史や、内面の部分、つまり、思考や道徳の成り立ちが学べる。

もちろん、人間は内面でどう思っているか、どう考えているかが、目つき、顔つき、表情、言動に現れるから、内面から教育することは、社会的マナーを身につける上でも非常に重要である。

かのリンカーンの「40歳過ぎれば自分の顔に責任を持て」という名言があるが、40歳も過ぎてくると、その人の生き様や信念が揺るぎないものになって来るという実感がある。
30代ではまだまだ社会的経験が積まれ、人間形成の発展途上と思える部分もあるが、40以降は30代の生き方の結果であり、“途上”ではなくなってくるのだ。著名な人物の言葉も、ある歳になるとより深く響くから面白い。

少し話が逸れてしまったが、
人は、心と体は一体で、その振る舞いの意味がわかって、本物のマナーを身につけていくのだろうと私は思う。

もちろん、優子さんのマナーレッスンでは、歴史的な話や、宗教的な話も出てくると思うので、あくまで振る舞い(形)だけのことではない。

※レッスン詳細は存じ上げませんので、知りたい方はご本人へお問い合わせください↓


親から子へ、働きかけるタイミングは?

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お子様の教育に関し、何をいつ?とタイミングが重要であると考える方も多くいるのではないだろうか。
何でも早くやらせればいいというものではなく、当然、子どもの成長に合わせて、然るべきタイミングというのがあるだろう。

今回のテーマでも、“反抗期までに”というタイトルがついていた。
その理由は、反抗期になると、親の話に耳を借さなくなるから、ということだった。
つまり、素直に親の話を聞いている年齢の内にということだ。


それに、振る舞いは聞いてすぐできるものでもないし、思考は育てるものだ。

ただ、大人扱いをされる年齢というものがあるから、その前までにというのは一つの目安になるだろう。

世界には多様な人間が存在すること、
どう多様であるか、
過去はどうで今はどうか(差別って何か、階級って何か)、
文化って何か、
宗教って何か、
世界の人々は日本をどう思っているか、
日本はどういう国なのか、
日本人ってどういう特徴があるのか、

そういうことは、一朝一夕で教えられることではない。

日常的にニュースや学校の勉強、子ども同士のコミュニケーション、家族の会話、政治の関わり方、年間行事などありとあらゆることから学ぶ機会を見出し、伝え、一緒に考えていくものだと思う。

学びに早すぎるも、遅すぎるもない。

その中で、アートはとても良い教育ツールになる。
アートは、世界の共通言語だ。

世界的に有名な絵を知っている・語れる、
自国の文化について誇れる・紹介できる、
欧米の大まかな歴史を、アートを通して認識していれば話題にしやすい、
他国のアーティストについて尊敬を念を表明できる、

こういうことができる人は、人間的に魅力である。

グローバルで活躍できる人間というのは、こんな風に人間的な魅力を兼ね備え、他者の生きる領域を大切にでき、かつ犯さない心得がある人だと思った。


4月から
“What is Art? 〜素敵なだけがアートじゃない、自分に変化をもたらすアート術〜”を開催します。
ご興味ある方は是非、詳細をホームページよりご覧ください。


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