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クローニー資本主義とロビイスト

私の娘はアメリカでオペラ歌手をしている。
オペラ一公演ごとに以前は数種の新聞を買い込み、ポジティブ 及びネガティヴな批評に一喜一憂していた。でも、もう見るのを辞めたと。

ロビイストの情報操作がシンプル イズ ビューティフルでなくしてしまったからだ。政治も 経済も 産業、そして芸術も。

いまや資本主義はクローニーキャピタリズム(資本主義)と呼ばれるようになった。縁故、仲間内のコネで動く故だ。その者の権力、ロビイストへの投入資金額により情報操作力が変わってくるからだ。

仕方がないのかもしれない。資本主義とは欠如がその支配原理。欠如を羨望するそのないものねだりのエネルギーが資本主義の駆動力。情報だって金で操作させ、される時代。資本主義のなれの果て。資本主義の社会主義 絶対主義への移行をマルクスが「資本論」で指摘していた通りだ。

例えば、日本のオペラ界や日本画界はどうだろう。〇〇会等のコネ、人脈で次のモーツアルトのオペラ 「ドン・ジョヴァンニ」のソプラノ、メゾソプラノ、テノール、バス などの人選が決まる。

アメリカは徹底した才能主義だ(った)。たった一つのメトロポリタンの座を競い合う。
メトロポリタン近隣にあるジュリアード音楽院の練習室は精神を破壊してしまいそうなほどにピリピリしているそうだ。

日本絵画家 千住博の有名な襖絵は大徳寺聚光院や金剛峯寺でも見られるが、千住博も逆輸入で有名になったケースだ。彼の書物を読んだ方はご存知だろうが、彼も日本の〇〇会などでは頭角を表すことはできず海外に出た。彼は日本文化をオタク(仲間内)文化という。

アメリカ経済もオタク化=クローニー化しつつある。それを後押ししているのがロビイストによるロビー活動。情報を金で動かす時代。アメリカの経済学者ガルブレイスもハーバードでの職を失いながらもこの傾向を批判し続けた。資本主義の究極の追求はここに行き着く。

資本主義がマルクスの予言に到達するのももう直ぐだ。政治(力)と経済がどんどん近づく。皮肉なことに中国ではその反対(政治と経済の分化)が起きつつある。日本の高級ブティックの長蛇の列は外国語で賑やかだ。

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