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客観美の極み💛谷崎潤一郎「細雪」とエミリー・ブロンテ「嵐が丘」=「失われた時を求めて」

谷崎潤一郎の「細雪」
プルーストの「失われた時を求めて」を超える
日本の「失われた時を求めて」の最高傑作
であり
それが故に
第二次世界大戦において軍部GHQ
時局にそぐわないとして
出版禁止としただけの大作

この小説に書かれた事柄それ自身が、日本が戦争の準備期に入り、だんだん内部的に変質して行くと云うか、いろいろの横辷りを生じて行く時代の様相と繫っている

谷崎潤一郎「細雪」回顧

軍部やGHQの検閲官に
「細雪」を読解するだけの深い洞察力
文学的感受性があったということだ
谷崎潤一郎はこう言っている

私が「細雪」の稿を起したのは太平洋戦争が勃発した翌年、即ち昭和十七年のことである。これがはじめて中央公論に出たのは昭和十八年の新年号であったが、それから四月号に載り、次いで七月号に掲載される筈の所がゲラ刷になったまま遂に日の目を見るに至らなかった。陸軍省報道部将校の忌諱に触れたためであって、「時局にそわぬ」というのが、その理由であった。当時すでに太平洋の戦局は我に不利なる徴候を見せ、軍当局はその焦慮を露骨に国内の統制に向けはじめていたことであるから、全く予期されぬことではなかったが、折角意気込んではじめた仕事の発表の見込が立たなくなったことは打撃であった。いや、ことは単に発表の見込が立たなくなったと云うにつきるものではない。文筆家の自由な創作活動が或る権威によって強制的に封ぜられ、これに対して一言半句の抗議が出来ないばかりか、これを是認はしないまでも、深くあやしみもしないと云う一般の風潮が強く私を圧迫した。」

谷崎潤一郎「細雪」回顧

この「細雪」は
元・神戸女学院大学教授 内田樹氏にして
無人島にたった一冊持ってくなら
谷崎潤一郎「細雪」を選ぶと言わしめるくらいの大作なのである❣️

そして
三島由紀夫も手放しで絶賛している
          (cf:三島由紀夫「谷崎潤一郎論」)
その
客観性
の美=谷崎の「細雪」は
自己を投影し「わがを吹き込んで生命を與え」た
人形=破壊的サディスティック女神
に「踏まれる」
ことを
もはや意志しない

没我の美学=「細雪」

谷崎初期作品「少年」の
無邪気な邪気が生んだサディスティックな光子観音に見られるその客観の萌芽が
「刺青」を与えられ、自発的に花開き
「痴人の愛」
が教育を施そうとも
教養を重ねられないナオミ
男との放蕩⤵️の反復
あるようにあり
なるようにしかならない客観性という宿命
であり必然
後期
作品である「細雪」の美学
その客観が「細雪」において極まり
女が女になるのだ

ひとの運命ほど測り難いものはない

谷崎潤一郎「細雪」

あらすじは以下Wiki参照願いたいが

一言で言うとこうである

三女 雪子が雪子であり
   雪子が雪子でなく (自信がない)
四女 妙子が妙子であるが故に (お転婆)
三女 雪子の縁談が纏まらず
長女 鶴子は鶴子でなくなり
次女 幸子は幸子でなくなっていき
愛する四女を絶縁
愛する男を奪われた妙子も
妙子でなくなっていくが
それは何かしら
鶴子が鶴子で
幸子が幸子で
雪子が雪子で
妙子が妙子であるところを超越したところの
宿命という時の翻弄

もう泣いても仕様がない。機会は永久に去ってしまった。なぜその時に自分は家にいなかったのだろうか…ほんの五六分自分が家を空けた間にその電話が懸って来たとは!人間の運と云うものは、実に実に偶然の詰まらないことで極まってしまうのであることよ。………幸子は諦めようとしても諦め切れず、その時自分がいなかったことが恰も自分の越度であるかのように悔まれ、選りに選ってその五六分の隙間に電話が懸ったと云うことが、雪子の不運であるようにさえ考えられて来るのであった。
…「しかし、それは雪子ちゃんの性格から来る悲劇やさかい、電話の時にお前が居合せたにしたところで、結果は同じことになるのと違うか

谷崎潤一郎「細雪」

それはまさに

仏蘭西映画「格子なき牢獄

谷崎潤一郎「細雪」

のよう………
時は無常
「つばめ」や「かもめ」を失い

つばめ』やないねん、『かもめ』やねん。

谷崎潤一郎「細雪」

「こだま」や「ひかり」となり

こだまデ午後二時三十分出発。

谷崎潤一郎「瘋癲老人日記」

ポケットニ忍バセテ来タ セデス ヲ二錠

谷崎潤一郎「瘋癲老人日記」

「痛くなったら すぐ セデス」へと続く
時の無常なる進行
を感じさせてくれる谷崎作品

バリ おもしろいのだ🤣
特に関西人
京都人
兵庫県民にとって❣️

個人的にも
母校である甲南女学校が出てくることも一つ
そして 若い頃 とあるおっさんに
「あなたを見ていると「細雪」4姉妹のある女性を思い出す」「誰かあててみ」
私を操縦する術を心得ている彼の策略
にまんまと乗せられ読み出した「細雪」が
止まらない 止まらない
一日で読破💦という
思い出の作品❤️
お転婆娘 1人しかおらへんやん🤭

そして
「細雪」を読むと必ず連想される
エミリー・ブロンテによる「嵐が丘」も
英国を誇る「失われた時を求めて
サマセット・モーム世界十大小説に選んだだけあります

音楽担当 坂本龍一で制作された
この1992年の映画
レイフ・ファインズの演技に耽溺
彼のファンとなった20代前半の思い出desu❤️‍🩹
時は無常にも流れてく😇
キャサリンヒースクリフはいつも一緒だった⛰️
荒野をかけずり回った無垢で幸せだった少年時代
彼らの感情はそこに固定されたまま
でも
レイフも老けた⌛️
時は残酷だ

ヒースクリフへの愛だけは不変なの♡
My love for Heathcliff resembles
the eternal rocks beneath:
a source of little visible
アイ・アム・ヒースクリフ
2人は一心同体
普遍の愛なの
知ってます? このセリフ?
I am Heathcliff.
キャーーーー♡♡♡って
映画を観たあの時にタイムスリップしてしまう
I love him
because he’s more myself than I am...
his and mine are the same;

普遍の愛を信じ
キャサリンはリントンと結婚する
Time will change it
as the winter chenges the trees.
でも
それを聞いてしまったヒースクリフ
はいなくなってしまう
日本語版見つけられなかったので
英語バージョンを

もう戻らないあの時
2人の絶対性が裏切られたことへのヒースクリフの
怒りと反抗には凄まじいものがあった

ひとつの死
バタイユはそのエロティシズムのもたらす
怒りと反抗を こう表現する
怒りが💢ひとを変えるのだ

あらたに生れるものたちが、消え去ったものたちのあとをうけつぎ、それにとってかわる」

バタイユ 「文学と悪」

なぜ僕を裏切ったんだ?
なぜ僕を捨てた?
どうして自身の心を欺くようなことをしたんだ?
僕を愛していたのに…
Heathcliff.
Why did you betray your own heart, Cathy?
You have killed yourself.
You loved me
- then what right had you to leave me?

Carhy
You left me too
あなたが
私を捨てたのよ

どっちがどっちを捨てたのか?
時が普遍を追い越したのだ

As soon as you become Mrs. Linton,
he loses friend, and love, and all!
Have you considered how you’ll bear the separation, and
how he’ll bear to be quite deserted in the world?」

プルーストのマドレーヌ
in「失われた時を求めて」より
胸が締め付けられませんか?
宿命に…時の流れに……
上記 キャサリンのお姉さんのセリフは正しい
時は愛に味方する❤️
愛し合う者は一緒にいなくちゃ❣️

細雪
次女 幸子夫婦も
幸子が泣くたびに
その泣き顔に見出せる幼き表情に
過去に行きつ戻りつしながら
愛を深めていった
そして
四女 妙子
阪神大水害で命を投げ捨ててでも
守ってくれたカメラマン板倉と一緒になれたら
最も妙子らしかっただろうに
そして
もしばかりだが
四女 妙子が先に遠慮なくお嫁に行ってくれたなら
内気な三女 雪子
ゆーっくりと時を味方
自分探しできただろうにな思う❤️‍🩹
「細雪」内で は完全に雪子のとして動いてた
見合いの前にはいつも
誰かが怪我したり病気になったり
が縁談を邪魔するかのように………

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