『#Eぐみに会いに行く。』vol.7【前編】 〜にっくんインタビュー@御徒町〜
高校時代の同級生へのインタビュー企画#Eぐみに会いに行く。7人目のインタビュイーは、現在、宝石会社にお勤めのにっくんです。今回は御徒町にあるオフィスにお邪魔してお話を伺いました。
『#Eぐみに会いに行く。』
vol.7
インタビュアー・神田朋子
久しぶり!!
神田:インタビュー企画『#Eぐみに会いに行く』。今回は、御徒町にある宝石会社にお邪魔しています。お話を伺うのは、にっくんです! よろしくお願いします!
にっくん :よろしくお願いしまーす。
神田:実は最近にっくんと連絡を取った友達が周りにいなくて……ちょっと心配してたんだ。
にっくん:そうだったの?
神田:うん。Eぐみの担任の先生も気にしてたよ。でもインタビューを申し込んだら、すぐに返信が来て。しかもにっくん、自作の経歴表まで用意してくれたから、すごく嬉しかった!
神田:今日はお仕事のお話も含め、色々おききしたいと思います!
にっくん:うん! あ、写真撮影はNGだからね。俺、猫が好きだから、顔写真のところは猫の絵にでもしておいて。
神田:?猫?? ……うん。わかった……。
神田:それにしても、御徒町って宝石の会社が多いんだね。通りにも宝石の名前が付いてて、「ルビーストリート」とか「ひすいアベニュー」とか……。
にっくん:そうそう。この辺りにはけっこう同業者が集まってるの。
神田:私、にっくんが宝石業界に就職したって聞いた時、ちょっとびっくりしたんだ。大学は教育系じゃなかったっけ?
にっくん:確かに、先生になりたい人が行く教育系コースもあったけど、俺が入ったのは教養系のコースで、「心理カウンセリング学科」っていうところ。
神田:心理学?
にっくん:まぁそうだね。うちの高校、放課後に外部講師を招いて講演会を開いてたんだけど、覚えてる?
神田:え? そんなのやってたっけ?!
にっくん:うん(笑)。それで、高校2年生の時かな? 心理カウンセリングをテーマにした講演会があるのを知って、参加したの。会の後に講師の人に質問できる時間があって、もともと興味があって読んでた専門書を持って行ったら、「ここまで勉強してるんなら、臨床やりなよ」って言われて。
神田:へぇ〜。ぜんぜん知らなかった。
にっくん:その講師をしてたのが心理カウンセリング学科の先生で、その後もやり取りを続けてたんだけど。結局、そこの大学に進むことにしたの。
神田:そうなんだぁ。大学の勉強は楽しかった?
にっくん:楽しかった楽しかった! 基本的に、先生たちがみんな面白いんだよね。俺、暇な時はよく先生の研究室に遊びに行ってたの。
神田:へぇ〜。
にっくん:どの先生もアカデミックなんだけどね、いわゆる「ガリ勉」じゃなくて、すごく楽しそうなの。研究者って割とそういう人が多いのかもしれないけど。俺にとっては、そういう姿勢が新鮮で。
神田:いいねぇ。
にっくん:俺がやってたのは「社会心理学」っていう分野だったんだけど、けっこう雑学的な面白さがあったんだよね。だから、「今日もまた面白い話聞けたわ〜!」みたいな感じで。だけどその勉強を卒業後の仕事に活かそうとは特に思わなかった。
神田:そうなんだぁ。
にっくん:カウンセラーになるにしても、当時はあまり認知度の高い職業じゃなかったし、研究職になるっていう選択肢も俺にとってはちょっと現実的じゃなかったから。それで、一般企業に就職しようと思ったんだ。
「どうせやるんなら!」
神田:それにしても、どうして就職先に宝石の業界を選んだの?
にっくん:もともと父親が宝石の会社をやってたの。俺が大学4年の時に父親が亡くなって、将来的に俺がその会社を継ごうかって話になったのね。
神田:そうだったんだ!
にっくん:だから取りあえず、業界のことを知ろうと思って。その頃は俺もまだよく分かってなかったから、とりあえず就職サイトで1社目に出てきた会社に決めちゃったのね。「どうせやるんだったらキツイ方がいいっしょ!」みたいな感覚で、訪問販売の会社に。
神田:そんな感じで?!
にっくん:うん(笑)。まぁ、予想通りキツかったけど、いい勉強にはなったね。訪問販売って、無理矢理売るんじゃなくて、ちゃんとお客さんとの関係性を作った上で、必要性を理解して買ってもらわないといけないから。営業として一番大事なところを学べたかな。
神田:なるほど〜。
にっくん:宝石の営業ってね、だいたい2通りのスタイルに分かれるの。1つは”説得型”っていって、お客さんに商品の良さとか必要性とかを説明して、理屈で分かってもらって売る方法。もう1つの“テンション型“は、「めっちゃ似合いますね〜!!」みたいな感じで、お客さんの気分を盛り上げて売る方法。
神田:あ〜。私、テンション型のパターンで買っちゃうことあるな〜(笑)。
にっくん:その頃の職場にね、説得型がすごく得意な先輩と、テンション型がすごく得意な先輩がいたの。俺、2人とも尊敬してたから、その先輩たちの売り方を一生懸命研究してたのね。「あの時なんでああ言ったんですか?」ってきいて、全部書き起こしてっていうのを繰り返して……すっごく充実した日々だったな。俺にあった営業スタイルを考えることが、自分自身を知るいい機会にもなったし。
神田:へぇ〜。ちなみににっくんは、どっちのスタイルでやってたの?
にっくん:状況によって使い分けてた。両方のいいとこ取り、かな(笑)。当時その2人の先輩に出会えたのは、ほんと、俺にとっての財産だね。
今、開いてる?
神田:営業の仕事だと、売り上げ目標があるよね? やっぱりキツかった?
にっくん:正直、全然売れない時は、ほんとに地獄だった(笑)。売れてる時はもちろんいいんだけどね。
神田:そういうのってさ、景気も関係してるんだろうけど、なんていうか、「波」みたいなものもあるの? 乗ってる時期と、不調な時期とで。
にっくん:あるある。それはすごくある。調子のいい時は売れるけど、悪い時はずっと売れない日が続くの。
神田:わ〜。それは辛い〜。
にっくん:だから「いったん、メンタルリセットしなきゃ!」って感じることはあるね。そういうのって結局、自分の気持ちと連動してる部分があるから。やっぱり、お客さんに心を開いてもらうには、こっちの気持ちが開いてないといけないからね。
神田:「気持ちを開く」、か。
にっくん:うん。で、自分の状態を確認するために、俺、いまだに実践してることがあるの。
神田:なになに?
にっくん:地方に行った時にね、地元の人が行くようなスナックに入って、他のお客さんに奢ってもらえるかっていう"遊び"を、自分の中でするのね。
神田:何それ!(笑)
にっくん:自分の気持ちが閉じてる時って、あんまり上手くいかないのよ。でも気持ちが開いてる時は、初対面の人とでもすぐに打ち解けられるの。最後には「兄ちゃん、今日は面白かったから奢ってやるよ!」って(笑)。
神田:へぇ〜!
にっくん:この話を同じ業界の人にすると、「そういうの大事だよね」って言われる。
神田:ふーん。
にっくん:やっぱり、日々、人と向き合う仕事であればね、メンタルのリセットだったり、今、自分の気持ちがどの辺にあるかっていう確認は、定期的にしておく必要があると思うんだよね。
(後編に続く)
(取材日:2023年9月10日 @御徒町)