安心できる暮らし。
私は温泉やスキー場が多く、シーズンになると都会から多くの観光客が来るような街で生まれました。
18歳でひとり暮らしを始めるまではその世界で生きていました。
生まれた時からその環境なので当時は気づきませんでしたが、とても様々な点で選択肢は限られていたと思います。
実家から通える範囲に大学が無いほどだったので、大学進学と同時に文化も違う東北地方の中核都市で生活するようになりました。
ひとり暮らしを始めてからは大学の授業を通して友人も出来ましたが、
性格が引っ込み思案で人見知りなのでサークルなどにも上手く参加できずに結構家にこもっていました。
勇気を出してアルバイトなどもやりました。
アルバイトはお金になるので、それがモチベーションになってある程度は続きました。
当時はやはり「友人が多い」「顔が広い」「いろいろな活動に参加している」というのが自分的にとても充実している印象だったので、
自分もそれに近づきたいといろいろ試して行動してみては、結局辛くなってしまって家でひとりで過ごすという時間も長かったと感じています。
それでも就職活動を機に、興味のある分野が出てきて、考えた結果東京に出てくることにしました。
結構大きな決断でした。
大学で暮らしたエリアから離れるので、それまでの友人、知人とも気軽に会えなくなったり、
疎遠になり、とても寂しい思いをして後悔することもありました。
でもやってみたいことがあったので、なるべく前を向くようにしていました。
やりたい分野で仕事を始めてからは、人と多く関わる分野だったので、やりがいもありましたが、もともとの性格に合っていなかったこともあり、
やりたいことをやっていても相当ストレスが掛かっていました。
でも見て見ぬふりをして突き進んでいた結果、心が折れる瞬間が来て、今はその業界から離れています。
少し前に大事な人が出来て結婚してからは自分の出来る範囲で仕事をして、家族のサポートを受けるようになりました。
収入的に自分ひとりでは生活が出来ない状況ではありますが、今はとても平和で安心して生活が出来るようになりました。
とにかく時間に余裕があること。
興味のあることをゆっくり楽しめること。
無理に人と関わらなくても大丈夫なこと。
身近にいてくれる家族が出来て、精神的に安心できたこと。
これまでの生活で自分が必要としていたけれど欠けていたものに気づいて、ひとつひとつ整理できました。
その中でも最大の気づきは「自分の生きるペースが都会の速度に全く合っていない」ということでした。
家族もいるので、いざ田舎に引っ越すぞ!とはなかなか出来ないのですが、
「都会暮らしでも、行動範囲や時間の配分は調整できるよな」と、
考えてみれば当然なのですが、最近になって気づくことができました。
最近やっていることは、
「日が暮れる前に家に帰ること」です。
以前の仕事は朝が早く、夜も毎日少し残業してくるような感じだったので、毎日の生活が目まぐるしくて休日は家でずっと寝ているという生活でした。
でも当時の価値観では、
「そんな充実していない生活はダメだ」
と勝手に自己否定をしていました。
自分のペースを見失っていたのです。
食事もコンビニや適当にお惣菜を買ってきて、急いで食べるというような暮らしでした。
でも実家にいる時は夕食は特に時間を取っていて、家族となにを話すわけではないけれど、
よく噛んで食べたり、味わったり、ゆっくり食べることで徐々に満腹になる感覚を得たり、と自分的に優雅な時間を過ごせていたことに気づきました。
そして夕食の時間を長く取るにはどうしたらいいかと考えました。
それで家に早く帰って、食事の準備や食べる時間を多く取れるように調整する、という考えに至りました。
個人的には何かを食べたり、飲んだりしている時間がいちばん頭を空っぽにできるので、
食事の時間を長くすることは同時に頭を休めることにもつながっています。
以前よりも気持ちも余裕が出て、気持ちも落ち着き、
「あぁこれが自分に合うペースだったのだな」
と知ることが出来ました。
他にも自分のペースを無視していた活動はまだまだあると思います。
それらを上手く調整して、もう少し自分のペースを取り戻したいと考えています。
それを考えるだけで、安心しています。