イメージを正しく使い分ける
「すぐやる力」のベースをつくる
①すぐやれない自分をリセットしよう
私たちはだれでも、
潜在意識という「よりよく生きる」ための力を持っています。
しかし、現代人は、自分の力を信じていない、
信じたくても信じられない人が少なくありません。
これは、自分で自分の身体が思うようにならない
ということも大きいでしょう。
「やりたいと思っても、なかなか実行に移せない」
「目標を立てても、達成しようとする意欲がわかない」
意識と潜在意識がねじれ現象をおこしているだけではなく、
身体とうまく結びついていないために、
指令を出しても空回りしてしまう。
だから「すぐやれない」状態になるのです。
身体と意識と潜在意識。
この3つの関係をリセットしていきましょう。
マイナス・システム化を改善していく「イメージトレーニング」
②身体~意識~潜在意識のラインをつくる
私たちは目標を設定したら、
それに向けて練習や学習をスタートします。
経験を積みながら、情報を蓄積していくわけです。
情報が一定量たまり、あるレベルに到達したタイミングで、
必要な情報がタイムリーにリプレイされて、目標が達成されます。
ところが、スポーツにしろ、勉強にしろ、
最初からうまくいくわけがありません。
何百回、何千回と練習を積んで、ようやくできるようになるものです。
潜在意識は、この「失敗情報」を膨大に蓄積しています。
割合からいうと、9割以上は失敗情報でしょう。
うまくいった時の情報は、1割以下しかありません。
でも、一度手応えをつかむと、どんどんできるようになります。
いったいどうしてだと思いますか。
初めて自転車に乗れた時を思い出してください。
「できた!」という感覚さえつかめば、あとは意識しなくても大丈夫。
成功した時のバランスのとり方や筋肉の動きなどを
潜在意識がしっかりと覚えているから、やろうと思った時に、
その情報をひっぱり出してくれるのです。
これが「すぐやる」ためのメカニズムです。
最後の「できた!」という感覚を身体が維持していて、
意識には「自信」ができる。これが大切です。
人間は、身体と意識と潜在意識の3つで構成されています。
身体は潜在意識でコントロールされていて、
意識は潜在意識の窓口になっています。
つまり、練習を積んで達成した経験を持つと、
・身体→最後の感覚を記憶
・意識→できたという自信
・潜在意識→成功した時の情報の蓄積
と「身体~意識~潜在意識」がしっかりつながります。
練習とは、このラインをつくるためのものです。
いったん3つを結ぶラインができれば、やろうと思った時に、
潜在意識が過去の経験や情報をリサーチして、
必要な情報を引き出し、その通りに身体が動く。
自信があるから、成功の確率が上がり、
「すぐやれる」ようになります。
身体の感覚、つまり「体感」こそ、目標達成に欠かせません。
イメージトレーニングも、
じつはこの「体感の使い方」がカギを握っています。
③体感イメージと客観イメージの違い
私たちが実際に経験できることには限りがあります。
それを補うのが「イメージ力」です。
イメージのは、「体感イメージ」の他に「客観イメージ」があります。
ここで実験です。
オフィスで仕事中のあなた自身を思い浮かべてください。
どんなイメージが浮かびましたか?
キーボードの感触、電話のベル、積み重なる書類など、
自分が実際に仕事をしている状態が浮かべば「体感イメージ」。
オフィスの全体が見えて、右から3番目に座ってパソコンに向かっている
あなたの姿が浮かべば「客観イメージ」です。
体感イメージが、感触や聴覚、視覚など、
自分自身の五感の記憶をもとに再現しているのに比べ、
客観イメージは、テレビや映画のシーンを思い浮かべる感じです。
人間は体感と客観、2種類のイメージ力を臨機応変に使い分けています。
たとえば、私たちは室内にいても、
室外にいる時の状態が想像できるでしょう。
ゴルファーなら、芝のにおい、風のそよぎ、観客の声援などを
思い浮かべながら、練習で成功したショットの頭の中で打ってみる。
クラブを握った時の感触、身体の動きなど、
五感を総動員して試合と同じような状況を再現して
イメージトレーニングをしていきます。
すると、身体~意識~潜在意識のラインが強化されて、
数少ない成功体験や体験したことのない状況も、
実際に体験したのと同じようにインプットできます。
つまり、人間は「体感イメージ」を繰り返すと、
実際に体験した以上の回数が経験でき、
プラスの情報をどんどん増やしていけるのです。
④客観的にイメージすれば失敗はこわくない
しかし、いくら体感イメージでプラスの情報をつくっても、
本当に経験したマイナスの経験を消すことはできません。
この情報を消す役割を果たすのが、「客観イメージ」です。
失敗した瞬間、「しまった!こうじゃなかった」と
感じることがあるでしょう。
これが、客観イメージです。
失敗を認めて原因がわかれば、マイナスの経験は残らない。
「失敗した!」という時に即、「なんで」「どうして」と自問して、
「こうすべきだった」と客観的にイメージできれば、痛手は小さくて済む。
つまり、失敗を引きずらない。
いわゆる、立ち直りが早い状態になれるのです。
私たちは、失敗から学ぶこともできます。
2つのイメージには次のような役割があるのです。
・体感イメージ
⇒プラスの情報をつくり、経験値をふやす
・客観イメージ
⇒マイナスの情報を消し、経験値からはずす
⑤失敗を引きずる原因はイメージの逆転にあった!
ところが、メンタルがマイナス・システム化している現代人は、
成功体験を増やし、失敗を消してくれるはずの
2つのイメージ力が逆転しているケースが少なくありません。
そのため、失敗や挫折からなかなか立ち直れない。
いわゆる「打たれ弱い人」が増えています。
だから、自信もないし、「すぐやる」ことがむずかしくなってしまう。
体感イメージで、失敗をまざまざと思い出すと、「引きずって」しまう。
本当の反省とは、失敗を「ひとごと」にすることです。
自分の失敗を客観的に検証して原因に気づき、
2度と繰り返さないシステムをつくり出す。
「人のふり見て、我がふり直せ」ということわざがありますが、
これがベストです。
ところが、失敗して「どうしよう、どうしよう」と動揺したままだと、
体感イメージに拍車がかかって悪い情報を増殖させしまう。
1回のミスショットを30回も40回も連続して体験しているのと同じです
本来、いい情報をつくるための体感イメージが失敗の時に出て、
悪い情報を強化するイメージとして使われている。
これが「失敗を引きずる」という現象の正体です。
⑥正しいイメージで自滅のプログラムをストップ
しかも、まずいことに、テレビ世代の私たちはうまくいった時の
本当の経験さえも客観イメージに置きかえて「ひとごと」
として捉えてしまう傾向があります。
せっかく体感でつかんだ情報があるのに、
「ひとごと」にしてどんどん消してしまう。
映像を手掛かりに、その時の感覚を思い出すことができれば、
うまくいった時の情報を増殖できます。
しかし、眺めているだけでは「ひとごと」に
なっていくだけで逆効果です。
五感は、潜在意識に情報をインプットするアンテナです。
アンテナの感度が悪くなると、潜在意識と身体、意識のやりとりも
うまくいかなくなり、マイナス・システムのまま
生きることになってしまいます。
⑦「リズム呼吸」で、本来のペースを取り戻そう
(「すぐやる力」を高める3つのトレーニング①)
人間はだれでも、調子のいい時の呼吸法を持っています。
それを「リズム呼吸」と呼んでいますが、
この呼吸をしている時は、メンタルも正常に動いています。
●呼吸は意識と潜在意識をつなぐスイッチ
呼吸は、意識してもできるうえ、普段から無意識でしている動作です。
つまり、呼吸は、意識と潜在意識の両方にまたがり、
私たちがコントロールできる唯一のものでもあるのです。
リズム呼吸は、吐くことから始めます。
まず、ふう~としっかり吐く。それからゆっくり吸う。
これが基本です。
身体の中にたまったマイナスの感情やストレスなどを
二酸化炭素と一緒に思いっきり、外に吐き出してから、
新鮮な空気をたっぷり吸い込んでください。
力を発揮しなければという場面では、人間は自然と息を吐くものです。
ストレスやプレッシャーをいったん吐き出し、
新鮮な酸素を身体に行き渡らせて、
本来の実力を発揮しようとしているのです。
深呼吸は、文字通り深く長く行うのがいいと思われています。
リズム呼吸も深く長くできれば、
潜在意識もそれだけ強い力を発揮できます。
まずは、苦しくない長さで吐く。
1・2・3・4とカウントしながら、4秒にさしかかると苦しいなと思えば
その一歩手前の3秒がちょうどいいリズムです。
次に吸う。こちらも苦しくない長さで吸ってみてください。
ただし、吐く時は口からでも鼻からでもOKですが、
吸う時は必ず鼻からにしましょう。
鼻は不要なものをカットして、
必要な酸素だけを取り入れる機能を持っています。
これがすべての人間が持っている、
潜在意識を動かすための自然なリズム呼吸です。
●リズム呼吸を生活習慣に取り入れよう
最初は自分の部屋など、リラックスできる環境でトライするといいでしょう
慣れてきたらだんだん、別の場所でもトライしてください。
⑧「体感イメージ」を鍛えて、潜在意識の力を引き出せ(「すぐやる力」を高める3つのトレーニング②)
五感は、潜在意識に情報をインプットするアンテナです。
●お風呂のイメージで五感の力を取り戻す
まず、お風呂に入っている状態をイメージしてください。
なぜなら、入浴はストレスから解放されるひとときだからです。
あたたかいお湯に浸かっている感じ(触感)、
石けんやシャンプーの香り(嗅覚)、
カコーンと響く桶の音(聴覚)など、
五感を総動員して具体的にイメージしていきます。
湯けむりや窓から見える風景(視覚)、
風呂上がりのビール(味覚)など、
一連の流れで思い浮かべてみましょう。
実際にお風呂に入っていないのに、
のびのびとくつろぐ心地いい感覚を想像していくのです。
人によっては、なかなかむずかしいかもしれません。
マイナスに共感していると、五感と潜在意識の連動が
うまくいっていないため、体感のイメージが再現しにくいのです。
イメージしにくい人は、お風呂に入った直後にやってみてください。
実際の感覚が残っているので、
比較的ラクに再現できるでしょう。
●好きなことをイメージして五感をパワーアップ
お風呂が一番ポピュラーですが、他のシーンでもかまいません。
たとえば、天気のいい日、公園の芝生に寝転ぶのが好きなら、
それでもかまいません。
あたたかい陽射し、しっとりやわらかい土の感触、芝生のにおい、
遠くから聞こえる人の声…。
イメージしただけで、本当にその場にいるかのように
感覚がよみがえってくる。これが大事です。
⑨「客観イメージ」に転換して、マイナス経験を消去する(「すぐやる力」を高める3つのトレーニング③)
過去の失敗が体感を伴う経験として残っていると、
どうしても引きずりがちです。
「客観イメージ」のトレーニングで、
当時の状況を冷静に思い出してみましょう。
●失敗をひとごとにして、引きずらない方法
実際にやってしまった失敗は、やはり五感を通じたイメージとして
残りやすいものです。
単に思い出すのではなくて、
一度目を閉じてテレビ画面を思い浮かべてください。
その画面に、もう一人の自分を見るような感覚で、
自分がやってしまった失敗を再現してみるのです。
「ひとごと」なので、「やってしまった!」というあせりや、
怒られた時の悔しい気持ちは感じません。
あくまで、外から見た当時の状況をリプレイしていきます。
この時にナレーションで「実況中継」を入れるのも、いい方法です。
言葉で状況を表現することで、より客観的になれるでしょう。
しかし、当時の記憶がよみがえって、
イヤな感覚が出てしまう場合もあります。
これは失敗経験を増殖してしまうので、
いったん目を開け、イメージするのを中止しましょう。
体感が出てきてしまったら、リズム呼吸です。
イヤな感覚が薄らいで落ち着いたら、またテレビ画面に戻る。
リズム呼吸→イメージ、リズム呼吸→イメージ。
これを繰り返すことで、次第に体感が出なくなって、
客観イメージで再現できるようになります。
すると、なぜ失敗したのか、どうすればよかったのか、
なんらかの気づきがあると思います。
「こうすればよかったんだな」という気づきに到達できれば、
失敗体験は「ひとごと」にシフトし、情報の1つとして処理できます。
やってしまった失敗は、
時間が経たないうちに処理しておくのがベターです。
今日の失敗はその日のうちに消す。
そういうタイミングがいいでしょう。
「1日の憂さを晴らす」という言葉がありますが、
マイナスの経験値を蓄積しないようにすると、
メンタルの状態が崩れないので、
失敗した直後に客観イメージで処理できるようになってきます。
いわゆる「立ち直りが早い」状態になれるでしょう。
●トラウマをやわらげるマンガ化作戦
ただ、失敗があまりにも大きく、ショックからなかなか抜け出せない場合は
イメージの仕方を変えてください。
オブラートで包むように抽象的な方法をとります。
ストレートに再現せず、思い切ってデフォルメしていきます。
「マンガ化作戦」です。
たとえば、オールバックでメガネをかけている苦手な部長を
「ほうき」にたとえる。
しこたま怒られている自分はそのほうきにいたぶられている
「紙くず」です。
「オールバックのメガネほうきに、あっちこっち転がされ、
もて遊ばれているオレ」というマンガチックなイメージに
置きかえて再現してください。
自分の心の奥底にあるつらい出来事を、
ダイレクトに思い出さないように抽象化する。
しかし、潜在意識はなにを表現しているかちゃんとわかりますから、
客観イメージとして処理できる。
リズム呼吸で体感イメージをカットしながら
マイナス情報を少しずつ消してください。
こういう手法は、親やパートナーなどから虐待を受けた人たちの
メンタルケアの場面でも活用されています。
あまりにもつらい出来事は、潜在意識の奥にしまいこまれて
なかなか出てこない。
しかし、そのままにしておくと必ずそれがフラッシュバックしてきて、
いつまでも抜け出せない状態になります。
体感がすぐに出てくるような大きなショックを受けた出来事は、
抽象的に思い出し、そのイメージに慣れていきつつ、
少しずつ体感イメージを消していくことをおすすめします。
自分の状態にあわせて、何回かに分散してやるといいでしょう。
時間はかかるかもしれませんが、効果的なトレーニングになります。
~30代女性のための心と体の健康アドバイザー~
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