35歳からのウソ日記66
2020年8月2日
男なら誰でも不良の気分になる時がある。
それは不良漫画や不良映画を見た後だ。
私は漫画喫茶で不良漫画を読んでいた。
休みで夜にコンパがあるので、それまでの時間つぶしに漫画喫茶に入ることにする。
コンパといっても皆さんが想像しているようなものではなく、初めて知り合う
複数の女の子と複数の男友達と居酒屋でワイワイやるやつである。
想像通りで申し訳ない。
そして、漫画喫茶で不良漫画に夢中になってしまい、コンパに遅刻しそうな時
間になってしまった。
ピンチだ。
遅刻していった方がカッコいいなんて少しも思っていない。
待ち合わせ場所が自転車で行ける距離だったので、自転車をとりに家に戻る。
私の自転車は15万円ほどであったが、人には20万円だったと言っている少し良い自転車だ。
それなりにスピードが出るので間に合うかもしれない。
だが、その時は不良漫画を読んだ後だったので肩で風を切りながら、誰でもいつでもかかってこいという感じで歩いた。
ちんたら歩いている時間はないのに。
私は自転車にまたがり、右足でペダルをグイッと踏み込み、自分の力を上手に自転車に伝達した。
自転車は待っていましたと言わんばかりにスムーズなスタートをきる。
どんどんスピードはあがっていき、ママチャリでは味わえないスピードに達し、最高速になったと思った瞬間の出来事だった。
横から自転車が飛び出してきて、私と衝突。
その次の瞬間、私は宙を舞っていた。
いつも見ている世界とは逆の世界が視界に広がり、衝撃と共に世界が揺れた。
同時に体に痛みが走った。
不良漫画を読んだ後の私からは、自慢の自転車と同じくらいのスピードで怒りという感情が湧き出てくる。
「痛ってーな!こらぁ!」
誰に向かってとかではなく、空間にキレた。
一瞬の出来事だったので、どんな奴とぶつかったのか分からなかったのだ。
でもそんなことはこの際どうでもよかった。
私の理性は、宙を舞った時に一緒にどこかへ飛んで行ってしまったのである。
すぐさまぶつかった奴のもとに歩み寄り怒声を浴びせた。
「テメェ、何飛び出してきてんだよ?あぁ!こっちはテメェのせいで傷だらけだし、チャリもボロボロになってんじゃねーかよ。どう落とし前つけてくれんだ?おい!」
黙る相手。
「黙ってねーでなんか言えよコラ!あー怒りがおさまらないからお前ちょっと来いや。」
そう言って相手の襟首を掴み、路地裏に引きずり込んだ。
壁際に正座をさせ、殴る。
殴る音と殴られた頭が壁に当たる音が路地裏に響く。
泣きじゃくる相手。
うるさいので最後に、相手の鼻っ柱をめがけてヒザ蹴りをした。
さっきまでのうるさい泣き声が嘘のように静かになり、相手はゆっくりと倒れた。
そしてポケットからクシャクシャになったタバコを取り出し、火をつけ、その場を去って行った。
という予定だった。
宙を舞っている時に走馬灯ではないけど、そういうシナリオを描いた。
気分は不良だったから。
実際は、ぶつかった相手が真面目そうな、可愛い顔した男子中学生で、私の方に左足を引きずりながら、「大丈夫ですか?」と言ってきた。
私よりはるかに痛そうな怪我をして。
それを見た瞬間、「ふざけんな!」とキレる予定が、「お、お前こそ大丈夫かよ?」
優しい言葉かけちゃったよ!
最後には「気をつけて帰れよ」なんて大人ぶる始末。
やはり優しさが大切だ。優しさが。
しかし忘れちゃいけないのが、私はコンパに向かう途中だったてこと。
ちょいと遅れたけど行きましたよ~
傷だらけでしたが。
そのコンパでも持ち前の優しさ全開!
気に入った子に優しさ全開!!
そして私の気持ちをストレートに伝えた。
今度は二人でご飯に行きませんか、と。
結果は・・・
NO。
理由は・・・
優しいけど友達にしか見えない。
よくあるパターンで撃沈。
ショックで体調がヤンキーになりました。
その子はもっと肉食系で恐さがあるくらいが丁度いいと言っていた。
あーあ、不良になりたい♪
完
それでは また あしたで 終わる今日 ということで。
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