【古典邦画】「浮雲」
小津安二郎が「俺には撮れない、大傑作だ」と言ったという、成瀬巳喜男監督の、1955(昭和30)年の作品「浮雲」を再度鑑賞。
「放浪記」と並び、成瀬監督のデコちゃん(高峰秀子)主演作品では素晴らしい傑作で、デコちゃんの代表作の一つでもあると思う。
若き岡本喜八が助監督なんだな。
別れようとしても、別れられない男女の様を描くのだが、どちらかといえば、富岡というダメ男(森雅之)に翻弄されて、傷ついて死んでいくゆき子(デコちゃん)の悲哀がメインだ。
もう成瀬監督の技が冴える極上のメロドラマで、ゆき子の、その場の雰囲気に流されてしまう心情がよく表れている。
死の間際まで、富岡とお手伝いさんとの会話も、嫉妬混じりの目で眺めてしまうゆき子の不幸ったら。死に近付いていくほどキレイになるのに。
なぜ彼女は何度も別れる決心をしているのに、富岡が訪ねて来ると、また靡いてしまうのか。それが一度、惚れた女の哀しい心情というかもしれないが、それ以上に身体の相性が良かったのに違いない。つまり、ゆき子は、富岡とのセックスが忘れられないのだと俺は思うね。
アクセントで登場する岡田茉莉子もステキだ。
「あなた、いつでも女によそよそしくしてて、ちゃんと女を掴んでしまうんだから」
「僕は神経衰弱なんだよ。寂しいんだ。やり切れなくなるんだよ」
「あなたって怖い人だわ。自分のことばかりかわいいんでしょう」
「かわいいから生きるのに未練があるんだ。死ぬのは痛いからな。もうそんな勇気もないね」
「しょうがない人ねえ。それで他人にはよく見えるのだからいいわ。見栄坊で、移り気で、そのくせ気が小さくて、酒の力で大胆になって、気取り屋で。人間のずるさをいっぱい持って隠してる人なのよ」
「人生は別れ際と感情だけが大切だからな」
「どんな立派な女でも、男から見れば女は女ね」
“花のいのちはみじかくて
苦しきことのみ多かりき”
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