【古典邦画】「まごころ」
成瀬巳喜男監督の、1939(昭和14)年の1時間あまりの小品「まごころ」。YouTubeにて。
戦時中の作品だが、小学6年生の女児の友情を中心に、大人の想いも絡んでくるもので、決して暗くはない。
ちょっとした噂を耳にし、それを話したことで友情にヒビが入りそうになるが、結局、お互いの思いやりで元のサヤに戻る。
女児の父親と、別の女児の母親が昔、関係があったという話で、当時の検閲を通ったのだなぁ。
女児らの会話がハッキリとイキイキとしてるのは微笑ましい。
特筆すべきは、女児らの心理描写。噂を聞いた時の、心の動きを表す表情や行動は、まさに成瀬流。
女児ゆえに、幼いながらも、シッカリと大人たちの心の揺れや動きをちゃんと見てることがよくわかる。潔癖さとイジワルさと優越感を持って。戦時下という制限もあろうが、成瀬監督の丁寧な心の描き方は感心するね。
ラストだけは、検閲を意識したのか、父に召集令状が来て、皆で喜んで、「バンザイ!」と駅で見送りをする。当時は、このラストがハッピーエンドの意味で使われていると思うけど、そんな時代だったのだ。
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脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。