【邦画】「古都」

市川崑監督の、1980(昭和55)年の東宝作品「古都」。

文豪・川端康成の小説の映画化で、百恵ちゃんの主演。山口百恵の文芸映画シリーズ最後の作品だ。友和さんはチョイ役で、中盤になるまで出て来ない。

前に、岩下志麻主演の作品(1963年、中村登監督)を観た。2016年のYuki Saito 監督作品もあるけどコレは駄作なので無視して良い。

今度は百恵ちゃんが二役となるが、北山杉の純朴な田舎娘・苗子と、その双子の姉だった、京の老舗の呉服問屋に拾われて育てられた千重子とを上手く演じ分けている。

市川監督も、百恵ちゃんの演技に惚れ込んで、金田一シリーズ等にも出演を打診したが、ホリプロに断られてかなわなかったという。

華やかな岩下志麻と比べると、百恵ちゃんはとにかく暗い。が、静かに耐え忍んで思い悩む姿がよく似合う。同じく艶やかな着物を着てても、陰鬱さで目立たないくらいだ。

真っ直ぐに伸びた北山杉や、伝統的な京、祇園の喧騒の中に、日本らしくほのかな余情を残すような百恵ちゃんの凛とした美しさも、コレはコレでイイ。ラストの、千重子と苗子がたった一晩だけ同じ床で寝るシーンも泣けて来るほど美しい。

岩下志麻版と甲乙付け難い。でも、千重子と苗子が並ぶ特撮(?)の場面は前作の方がよく出来ていたが。


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TOMOKI
脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。

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