【邦画】「長崎ぶらぶら節」
2000(平成12)年の、吉永小百合さんと渡哲也さん主演の作品「長崎ぶらぶら節」。深町幸男監督。
若い頃に、同様に主役をはった2人であり、結婚を意識するまでになったが、諸事情で叶わなかったという。この作品は、小百合さんが渡哲也さんをキャスティングに押したとか。
他にも、高島礼子、原田知世、藤村志保、いしだあゆみ、高橋かおり、尾上紫、永島敏行、勝野洋などなど揃ってはいるが、コレも、俳優の素晴らしさに、監督の脚本・演出他が負けてしまった例だと思う。残念。
小百合さんを全面に出した“サユリスト”のための映画かもしれないが、それでも50代となった、影で好きな男を想い続ける芸者を演じる小百合さんは輝いているね。
長崎にも有名な色街があったんだなぁ。
10歳で奉公に出されて、誰にでも慕われて、長崎一の三味線の腕と評されるほどの芸者・愛八(吉永小百合)。
ある日、彼女は、長崎の郷土史家・古賀十二郎(渡哲也)との運命的な再会を果たす。
愛八は、古賀に誘われて、長崎に伝わる古い唄を探して記録する旅に同行することに。
そして、「長崎ぶらぶら節」という唄に出会う。
それは、愛八にとって想い出の歌であり、彼女が遊郭に売られる時、女衒の男が歌ってくれた歌だったのだ…。
2人で旅を続ける中、お互いに、特別な感情が芽生えるが、決して、身体を重ねることはしない。
「愛八、俺はどうしようもなかバカたい。でも木石じゃなか。お前の気持ちがわからんほどマヌケでもなか。ばってんカラダば合わせたら、俺たちの心がすたるったい」
「私には夢のごたる年月でした。せめて今夜は添い寝ばしておせつけまっせ」
「愛八…こっちこんね」
“老いらくの恋”にはまだ早いけど、2人の間柄を勝手に想像すると、このシーンは感慨深いものがあって、キュンキュンしちまうね。
「長崎ぶらぶら節」をレコードに吹き込むということで、詩人の西條八十が出て来る。
ラスト、愛八は、手紙を書いただけで、古賀に会うこともなく、参詣した身代わり天神の境内で“ホタルに抱かれて”息絶えるのは哀しいもんだねぇ。
しかし、愛八の秘めたる熱い想いをもっと上手く演出して欲しかったな。長崎の風景は素晴らしいけどさ。