【古典邦画】「ふるさとの歌」
溝口健二監督の、1925(大正14)年のサイレント作品「ふるさとの歌」。当時の文部省が日活に作らせた国策教育映画。YouTubeにて。
BGMもなくて静か。字幕が独特の文字で読みづらい。
まだ若い溝口健二が日活の新人監督だった頃のフィルム。溝口監督の、現存する作品では最古のものである。
都会に行って浮かれるよりも、郷土を愛して、郷土のために尽くそう、といった内容のプロパガンダ映画だ。
頭は良いけど、家が貧しいために、都会の学校に行けずに、馬車を引いて地元で働く青年。
対照的に、都会の学校に通い、女の子とダンスなんぞ覚えて、休みの時に郷土に帰り、それを自慢してる金持ちの友達。
友達は郷土でダンスパーティを催そうと画策するが…。
郷土に視察に来た外国人の子供が船から落ちたのを飛び込んで助けた青年に、外国人がお礼にお金を渡そうとするが、「僕は日本人です。いりません」と断って、後日、貧しいために都会の学校に行けないことを知った同じ外国人が援助を申し出るが、郷土の素晴らしさに開眼した青年はそれも断る。
「郷土の発展は僕らの手にかかっている。郷土を大切にしよう」という青年の言葉に友達も反省するという流れだ。
農夫こそ郷土の誇りだ!万国の農夫よ立ち上がれ!というプロレタリアート賛美のようにも思えるけど、農地改革の時代?
コレで、溝口健二監督の現存する作品は、「ふるさと」(1930年)を除いて全て観た。全86作品だが、消失しないで残ってるのは33作品。「ふるさと」だけYouTubeを探してもなかった。
海外で一番評価の高い監督だけど、犠牲になる女性を描くことが溝口監督の特長である。
小津安二郎、黒澤明、溝口健二は鑑賞済みとなった。次は成瀬巳喜男かな。
脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。