【邦画】「わるいやつら」
野村芳太郎監督の、1980(昭和55)年の松竹他作品「わるいやつら」。松本清張の小説の映画化だ。
松本清張らしい犯罪サスペンスであるが、あるデザイナーの女に心酔した二代目の総合病院院長・戸谷信一(片岡孝夫)が、彼女を自分のものとするために、愛人から多額の金を巻き上げようと画策、成り行き上、殺人に手を染めてしまう話だ。
バブル景気が近いからか、ファッションや雰囲気も派手で華やかで懐かしい感じがする。
2人の愛人のそれぞれの夫(毒殺)から、秘密を知った亡父の愛人だった婦長までも殺そうとするが、複数の愛人を持って、さらに、新しくデザイナーの女に手を出そうとするなんて、二代目ボンボンの医者ってこういう世間知らずのプレイボーイのイメージがあったのだな。
新進気鋭の若いデザイナーの女を演じたのは松坂慶子。確かに、自分では意図せずに男を狂わせてしまう魔性の女のイメージはあるね。彼女も、ラスト、戸谷を騙し大金をせしめた病院の会計係に嫉妬によって殺されてしまうが。
片岡孝夫や松坂慶子をはじめ、梶芽衣子、神崎愛、宮下順子、緒形拳、渡瀬恒彦、佐分利信、藤田まこと、小沢栄太郎、小林稔侍、蟹江敬三…とチョイ役も含めて、名だたる俳優陣が揃ってるねぇ。
金ばかりでは円満解決と行かずに、したたかな連中に騙されて、人間ゆえの嫉妬や情念、欲望の世界に身を持ち崩し、歯車は大きく狂って、行き着くところは殺人という究極の犯罪行為、戸谷は死刑は免れても無期懲役で網走送りとなる…“わるいやつら”は悪いことになって、全く人生とは上手くできているものだ。
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脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。