【古典映画】「我が恋は燃えぬ」
溝口健二監督の、1949(昭和24)年の作品「我が恋は燃えぬ」。色褪せたカラーだけど、後で付けたのか?
溝口監督作品はけっこうYouTubeに上がってて嬉しくなるね。
明治・大正時代の、“東洋のジャンヌダルク”といわれた婦人解放運動の先駆けとなった影山英子の半生をベースに描いたもの。
影山英子が師事した、表向きには自由民権を声高に叫ぶ政治家の男が、妾を囲って女性の人権を蔑ろにするような私生活を送ることに失望して、郷里に帰って婦人解放を目指して立ち上がる決意をするまで。
影山英子を演じたのは溝口映画では定番の田中絹代。
この作品も、溝口監督らしく、ダメな男によって悲惨な体験を強いられる弱い立場の女性を徹底的に描く。
最後に裏切る男が、自由民権運動の闘士であることが溝口監督独特のアイロニーか逆説的ジョークのようで面白い。
必ず言い訳として出て来る「理想と現実は違う」だが、その犠牲になるのが女性となってる。
理想に燃えれば燃えるほど、現実的な政治の世界とはかけ離れていく。やはり、政治は、バカな大衆を上手く扇動して、極端な右と左を討って、あくまで中道を行かなければならないのだ。
まだまだ女性が極端に下に見られていた時代の話だけど、理想を掲げることの困難さと、女性の幸せであった生活と、女性が置かれた立場による無力さとを感じさせる作品だった。
「あれ、君、お化粧してるね!」と言われて照れる英子(田中絹代)がカワイイ。
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脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。