【古典映画】「西鶴一代女」
ジジイになってやっとわかる古典の魅力ぢゃ。
ということで、溝口健二監督の「西鶴一代女」。1952(昭和27)年公開のモノクロフィルム。Amazonプライムにて。原作は、井原西鶴の「好色一代女」。
主演は、お馴染みの田中絹代なのだが、彼女をイジメ過ぎといっていいくらいで、徹底的にツイてない、どこまでも堕ちる女をやらせてる。
封建制度下の江戸時代を舞台に、男の色と欲の犠牲となり、身を持ち崩す女の一生。
悲劇の女は溝口監督の得意とするテーマなのだが、海外の評価も高いということで、この映画で頂点を極めたんじゃないか。田中絹代の、徹底した悲劇の主人公も名演で、海外で賞を受けたらしい。
まず、御所に勤めていた10代のお春(田中絹代)は、以前から彼女に想いを寄せていた男に言い寄られ、無理矢理、宿に連れ込まれたところを役人に見られて追放。
次に、世継ぎの子供ができない殿様の側室を探していた家中に見出されて、殿様との間に息子をもうけるが、奥方の嫉妬で、用済みと実家に返される。
次に、金に困って父親に遊郭に売られたが、彼女に惚れた男に身請けしたいと言われて、男のもとに行くが、男は贋金作りの悪党で、踏み込んできた役人に捕えられてしまう。
次に、女中となったお春だが、客によって、遊郭にいたことがバレてしまい、そこも追い出される。
お春は、実家に戻って、善良で働き者の男のもとに嫁入りするが、夫が外出先で強盗に襲われて殺されてしまう。
次に、尼となる決心をして、老尼の寺へ身を寄せるが、借金の取り立てに来た男に犯されそうになって、カンチガイした老尼に、寺を追い出されてしまう。
知った男と出会って、仕方なく行動を共にするが、男は店の品を盗んだことがわかり捕らえられてしまう。
そうして、いつしかお春は、三味線を弾きながら物乞いをする女になっていた。
空腹で行き倒れになってたところを、夜鷹(売春婦)に救われて、ついにお春は夜鷹となる。
そこに、彼女を探していた母に会い、殿様が死んで、お春が産んだ子が後を継ぐことになったと聞いて、屋敷に出向くが、お春が夜鷹に身を落としていたことが問題視されて、彼女は幽閉されようとする。そして、隙を見て逃げ出したお春は独り、巡礼の旅に出る…。
イヤー、こんなについてない不幸な女を描くなんて。
コレは家柄を重んじる武家社会、もしくは女性を子を産むか、慰み者くらいにしか考えてない男たちへのアンチテーゼか。それか、溝口監督のサディスティックかつマゾヒズムな女性に対する嗜好なのか想いなのか。
元はお嬢様だったのに、あれよあれよという間に落ちていき、最後は娼婦となって、殿様となった自分の子には無視される。
運悪く時代と男に翻弄される女の人生。
名作であることは間違いないが、お春の前で「生きてるだけで丸儲け」なんて言えるだろうか。
脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。