【古典邦画】「鎖陰」

元・日本赤軍のメンバーで、国賊銃撃犯の半生を描いた映画など、過激な作品を撮ってきた足立正生氏が、日大芸術学部映画学科の学生時代に作ったアングラ・フィルム「鎖陰(Closed Vagina)」(1963年)がYouTubeで鑑賞できた。

…は良いものの、フィルムの状態が悪くて、わかりにくい箇所も多々あった。残念。

澁澤龍彦が賛辞を送ったというこの映画、またクソ難解な観念的な前衛フィルムかと思いきや、一応、ストーリーがあって、それほど難しくもなかった。

膣欠損症(先天的に腟の一部または全部が欠損する異常)の女と、彼女を愛する男。2人は愛し合うけど、肉体上、うまくいかない。女は自らナイフで陰部を裂こうとしたり、また病院で手術を受けようとしたり…。

性交できないという男女の不完全な肉体的エロティシズムに、火葬の骨上げなど土着的な儀式を加味した、不思議かつ気味の悪い、グロい斬新なフィルムであった。

インポテンツじゃなくて女に不能の原因を求める視点がユニークである。

暗い絶望的な中にも、ある種の抒情性が感じられて、多分、足立氏のことだから、当時の社会状況(安保闘争)が関係しているのであろうと思う。


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TOMOKI
脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。