笠智衆
そうそう、小津安作品にもよく出てた“日本のおじいちゃん”こと「笠智衆(リュウ チシュウ)」は、熊本・玉名市の出身だったのだ。
鬼籍に入って(88歳没)、もう30年が経とうとしてるが、玉名市の名誉市民であり、没後30年・生誕120年ということで、玉名市の歴史博物館で企画展が催されていた。
「彼は真面目な男だ。人間がいい。人間がいいと演技にそれが出てくる。僕は元来、演技に巧い拙いはないと思ってる。自然のままに写し取るということが大事じゃないかな。ところがカメラを向けると、すぐにアガる、そして、少しでもいいところを見せようとする。笠にはそれが少ない。僕が好んで彼を使うのもそんなところにある」と、小津安二郎が評するように、笠智衆には、気負ったところがまるで感じない。
「ああ」「いやぁ」「うん」とか、好好爺のような短いセリフが多くて、長い、語るセリフだと抑揚が少なくて、下手なんじゃと思わせるが、それが映画の雰囲気を壊さずに感動に誘う、燻し銀のような良い味を出してるものだと思う。小津安が表す“無常”を体現してるようなものだ。
小津安か、寅さんの映画くらいしか印象にないが、まだ若い時から、社会から疎外された高齢者が、一人のかけがえのない人間としての尊厳を社会に求める内容のテレビ・ドラマの主演をやったり、ある家庭のお父さん、お爺ちゃんを演じ切ることで作品に深みをもたらしていたのだ。
笠智衆が持つ、質素、誠実、生真面目、寛容さは、若い頃、長きに渡って“大部屋俳優”だったという苦労を経験したからこそ醸し出されるものだろう。
熊本県の観光ポスターに書かれた「ボーッとしよう。」はイイなぁ。
次回、玉名市にある笠智衆が生まれた来照寺も行ってみよう。
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