【古典映画】「歌麿をめぐる五人の女」
溝口健二監督の、1946(昭和21)年公開の時代劇映画「歌麿をめぐる五人の女」。YouTubeにて。溝口監督作品も観れるだけ観てやろう。
江戸時代の浮世絵師、喜多川歌麿の活躍を描いたものだが、彼に美人画を描いてほしい女たちの物語で、そこは溝口監督、女同士の情念を上手く表現している。
なにしろ歌麿に描いて貰えば、たちまち有名人になれるのだから、女たちは我先にと歌麿に気に入られようと画策する。
田中絹代が、歌麿のおかげで江戸中に名が知れた商人の娘オキタを演じる。オキタは元々、勝ち気で嫉妬深い性格で、庄屋の息子に惚れてたが、その息子は花魁の女と駆け落ちしたことで、八つ当たりで、歌麿がまとめようとしてた縁談にまで邪魔をはじめる。歌麿は、このことで絵を描く気力を失ったが…。
ある殿様が余興で、自宅の庭に、たくさんの女たちを集めて、水中に飛び込ませて鯉の掴み取り競争をやらせるという噂を聞いた歌麿は、それを覗きに行って、また絵を描く気力が湧いて来るが(笑)。
真っ裸じゃないとはいえ、当時の下着だけの姿で大勢の女たちが水中で動き回る姿は圧巻だ。水中から撮ったりしてる。その女たちの中で、最も肉感的なお蘭に目を付けて、彼女をモデルに「美人鯉取りの図」を描く。しかし、それもお上の目に触れて手錠30日の刑を受けることに。歌麿に対する江戸幕府の弾圧だな。
それからは恋敵への嫉妬や憎悪、横恋慕、駆け落ちの連続で、オキタは恋敵を刺殺という結末。
歌麿は、「あゝ、美人画が描きたい」と手錠の解かれる日を待ち侘びて、彼を取り巻く女たちは、それぞれ情念を爆発させて、時に身を滅ぼすことも。芸術と色恋沙汰は同じようなものだ。
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