「風と共に去りぬ」
1939年(!)製作の名作古典映画「風と共に去りぬ(Gone with the Wind)」(米、ヴィクター・フレミング監督)。
今回の「Black Lives Matter」運動で、この映画がアメリカで動画配信停止になってると見たので、削除・改竄される前に観とこうと思って借りた。
もちろん、タイトルや音楽は知ってるけど、実はちゃんと観たことはなかった。
全部で232分、4時間近くあるクソ長え映画で、間違えて2から観ちゃったけど、アカデミー賞受賞の壮大なドラマでも全然退屈することはなかった。
原作はマーガレット・ミッチェルの小説だ。
南北戦争時のアメリカ南部が舞台だから、黒人は貴族に使われる奴隷だけど、クンタ・キンテのTVドラマ「ルーツ」のように虐待などはなくて、白人貴族の家で使用人となってる。
主人公スカーレット・オハラの世話をする太った黒人のおばさん・マミーなんか、窓からスカーレットを「はしたない!」と怒鳴りつけるくらい。
スカーレットが幼い黒人の使用人を「言うこと聞かないとムチでぶつわよ!」「あなたなんか売り飛ばしてしまうわよ!」と声を上げるシーンはある。
ただ、映画の翻訳が黒人のセリフだけ「〜してますだ」「おらぁ、〜するですだ」「〜しかねえです」とか、田舎モンみたいに扱われてるね。
当時の現実の南部は黒人に対してもっと対応が酷かったと思われる。原作はあからさまな黒人差別が描かれているというが。不幸だけど人種差別を肯定したアメリカの歴史だから注釈付きで全部公開した方が良いと思うけどね。
しかし、映画は、いけ好かない、小賢しい、嫉妬深くて、クソわがままな女スカーレット・オハラの半生記だとは知らなかったよ。
演じたヴィヴィアン・リーも性格悪そうな小生意気な顔をしてるし。
でも、同じブルジョア青年のアシュレーを一途に想ってるけど、彼が従姉妹のメラニーと結婚してしまい、そのメラニーが控え目で優しく上品なために、スカーレットの激し過ぎる性格が際立ってる。
途中から、変わった不良の貴族、レット・バトラーがスカーレットの激しい性格に惹かれて、強引に結婚に漕ぎ着ける。でも、案の定、トラブル続きで結局、レットもスカーレットから離れてしまう。孤独になったスカーレットは故郷の街タラに戻って出直す決心をする…。「私はもう空腹にならない。詐欺でも強盗でも殺人でも何をやっても生き抜いてみせる」。そして、明日は明日の風が吹く、「tomorrow is another day」。
激しく強い女、俺の経験では、ピーナみたいでもあるが、イライラすることもあるけど、その魅力に抗うことはできない。戦争の混乱期でも、強くたくましく、自分を変えることなく、闘って生きてきたスカーレット。
恋愛に翻弄される一面がある一方で、男みたく空想に逃げることなく、常に現実をしっかりと見据える度胸。女はやっぱりこうでなくちゃ。
映画を最後まで観て、いつの間にか、俺もスカーレットに激しく惹かれてるのを自覚した。
南北戦争に突入していくシーンで、レットが「圧倒的な武力を持った北軍は、ただ熱に浮かれてるだけの南軍をすぐに倒す」と嘆き、スカーレットが「私たちをこんな目に合わせて、床に伏してないで責任を取ってほしいわ」と後押しする。示唆的だなぁ。
この映画、名言がいっぱい生まれてるらしいね。もういっぱい語り尽くされてるだろうな。