「少女ダダの日記」
アンネ・フランクと同様、先の大戦、ナチ占領下のポーランドでの14歳の少女ヴァンダ・プシブイルスカ(ダダ)の日記。1965年に出版されたものの復刻版。
アンネは、隠れ家での日常を材料に、彼女の内省的な思いが詰まった日記だったが、ダダの場合、ポーランドに侵攻したナチとその行為を目の当たりにして、ナチへの怒りと祖国への激しい思い、友人や戦前の学校生活などを懐かしむ気持ちが綴られている。
あまり少女らしい感情的な文章は少なく、「全て祖国に捧げよう!ワルシャワ市民諸君に栄光あれ!自由か死ぬかどっちかだ!人は生きるため最後まで戦う」などと、14歳にして一端のレジスタンスのような力強い祖国への思いが記されている。
それでも、ナチの兵隊が、占領したポーランド人の母親の膝に座った幼児を見て微笑む様子や、ナチの負傷兵を見て、「私は、この兵隊が哀れでならなかった!かわいそうでたまらなかった!このドイツ兵だって人間だもの!」と素直な哀れみの感情を書いている。
ダダは、戦争が恐ろしいのは、それが人々の間の友情、国民の間の親善の気持ちを滅ぼしてしまうことだ、という。
戦争は、たった14歳の少女にこういう思いをさせているということだ。砲撃と空襲が続く中、広場で重なり合う死体の山も見てるから。
彼女は、家族で逃げまどう途中、砲弾の破片に当たって大きく負傷、担架に乗せられて病院で手術の順番を待つうちに出血多量でこときれる。父親が「早く逃げるんだ」と促したのに答えて、「パパ、もう逃げなくたっていいんじゃない」が最期の言葉だったという。
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