【古典邦画】「野菊の如き君なりき」
木下惠介監督の、1955(昭和30)年の作品「野菊の如き君なりき」。
最も古い「野菊の墓」(伊藤左千夫)の映画化。こんなに抒情豊かな無常感溢るる映画だったとは。さすがは木下監督。
明治時代、信州を舞台に、旧家の息子・15歳の政夫と、歳上の従姉・17歳の民子の儚い恋の物語。夏目漱石が絶賛した作品だ。
73歳となった政夫(笠智衆)が過去を回想する形で進む。
田中晋二演じる政夫は見た目もまだ子供だが、有田紀子演じる民子は秘めたる政夫への熱い想いを感じる立派な大人の女だ。笠智衆の政夫はすでに思いっきりお爺ちゃんだけど。
モノクロだけど、遠景で撮った日本の田舎の風景は広大で長閑で素晴らしい。
お互いに実ることのないとわかってる恋は、純粋であれば、困難が多ければ多いほど燃え上がるものだ。人間が影に持つ破滅への憧憬なのだろうか。
個人よりも家柄が重んじられる社会、民子はその犠牲者でもある。民子に限らず、総じて、女が犠牲になる展開は木下監督らしい演出だ。
日本の四季の風景と、胸が締め付けられるような切ない抒情と、常に流るる水のような無常感が、効果的に合わさって、独特の美を醸し出してると思う。
聖子ちゃんの映画もそれなりに良かったが、木下監督のこの作品もウルウルと来たね。民子は辛かったろうなぁ。デコちゃん(高峰秀子)も絶賛した杉村春子(母)の演技も素晴らしい。「ロミオとジュリエット」より、やはりコッチだなぁ。
「世にありて
一度会えし君といえど
我が胸のとに
君は消えず」
「まつひとも、
待たるる人も、
かぎりなき、
思ひ忍ばむ、
北の秋風に」
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