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【映画感想】西部戦線異常なし/最初に父が殺された

私が今年映画館で観た作品のほとんどは、好きな俳優さんやアイドルが出ていたものだった。平手友梨奈ちゃんが出演するザ・ファブルや、SnowMan岩本照くんが初主演を務めたモエカレはオレンジ色、さらには7ORDERの安井謙太郎くんも出演する死神遣いの事件帳と言ったところだろうか。純粋に作品目当てで劇場に足を運んだことはあまりなかった気がする。

しかし、最近は劇場で作品を楽しむ以上に自宅でゆっくりとNetflixやアマプラなどを観ることの方が格段に多くなった。これは私だけではなく皆さんもきっと同じだと思う。コロナの影響も当然大きいが、映画を観ようと思った瞬間に再生できるその手軽さのおかげで今年もたくさんの素敵な映画作品に出会うことができた。

そんな2022年に観た数々の作品の中でも今日は特に心に響いた戦争映画を2本紹介しようと思う。日本では比較的平和な日々が続いているが、世界のどこかでは今も残酷な戦いが続いている。今から取り上げる2つに作品を考察すると同時に、平和について改めて考えていきたい。

西部戦線異常なし

レマルクの「西部戦線異常なし」という長編小説が題材となり、以前公開された映画のリメイク版として最近登場したばかりの作品。第一次世界大戦中の激しい塹壕戦を、主人公の少年を中心としたキャラクターとともに描かれている。戦いの厳しい様子や残酷さが鮮明に描写されており、鑑賞中は終始心がえぐられるような感覚だった。

日本人の多くは第二次世界大戦の衝撃が未だに色濃く残っているが、世界的に見ると第一次世界大戦が最も残虐な争いであったと言われている。ドイツ軍がベルギーに侵略し、北ルートからパリ陥落を目指してフランス軍と激しい戦いが繰り広げられたのだが、毒ガスや戦車などの新兵器や両軍の塹壕によって戦争は想定以上に長期化した。

そんな第一次世界大戦下で、映画は愛国心を教師から叩き込まれた主人公の少年が期待だけを胸にして戦場に向かう場面から始まり、死や苦しみを通して徐々に人間性が壊れていく様子が本当に残酷だった。これ以上語ってしまうとネタバレになってしまうので避けるが、物語を観終わった頃には「西部戦線異常なし」というタイトルの本当の意味が分かった気がする。

ちなみに戦争の無惨さが語られるこの作品は反戦文学と解釈され、ナチス政権下では禁書となっていたようだ。今日紹介した作品はNetflixで楽しめる。決して明るい終わり方ではないが、歴史上の事実を知るために観る価値は非常にある。

最初に父が殺された

アンジェリーナ・ジョリーが監督を務めたこちらの作品はカンボジアのクメール・ルージュが題材になっている。クメール・ルージュの中心人物であるポル・ポトはフランス留学中に共産主義の思想に出会い、ベトナム戦争などを経て新政権を樹立した。クメール・ルージュとは、彼が極端な共産主義思想を掲げてあらゆる知識層を殺したという残虐な出来事。説明がとても難しいため、下に参考動画を置いておく。

そんな残酷な状況下にある当時のカンボジアを、ひとりの少女視点で描いているのがこの作品だ。平凡な日々がある日突然奪われ、家族とともにプノンペンを追い出されてしまった少女。しかし、徐々に家族は引き離され、行き着いた農村では過酷な重労働が待っていた。当時の残酷な日々が少女視点で進んでいくことで、よりリアル感を味わうことができる。

物語はかなり重たい内容ではあるが、現実にあった出来事として知ることはとても大切。日本ではクメール・ルージュについてあまり勉強する機会がないからこそ、私はこの作品を紹介したいと思った。こちらもネタバレはできないが、最後のシーンが比較的明るい雰囲気で終わったことが心の救いだった。それくらい胸が苦しかった。この作品もNetflixで視聴可能。

まとめ

国際情勢が不安定で平和が脅かされている今だからこそ、私自身も歴史上の残酷な出来事をもっと学びたいと思っている。戦争映画は観るのが苦しくなるような作品が多いが、過去をリアルに知る良いきっかけになった。平和は当たり前ではない。だからこそ私たちは平和に感謝して日々を全うしたい。みなさんも、メンタルが比較的安定しているときにぜひ1度ご覧ください。

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