AIエージェント時代に備えて、社内AIを集約してみたらメリットしかなかった話
先日の記事では、2025年に向けてAIエージェント時代に備えるためのポイントを「活用者視点」で考えてみました。
今回は、その備えの一つとして社内のAIをまとめあげる「集約AI」を試してみたところ、実際に様々なメリットを感じられたのでご紹介します。
集約AIのデモ動画
※本記事は、会話型AI構築プラットフォームmiiboを開発する株式会社miiboの提供です。
起きていた課題と行ったこと
課題：複数のAIが散在して、使い分けが大変だった
弊社内では、タスクごとに使うAIが分かれており、AIが複数存在しています。
そのため、存在を知らない人がいたり、知っていても忘れてしまう課題が発生していました。過去にはAIリストを管理してまとめる活動もありましたが、途中で更新されなくなり、AIを使いこなせる人が限られる状態が続いていました。
解決策：集約AIを作ってみた
そこで、複数ある個別AIを1つに統合し、ユーザーは「1つのAI」と対話するだけで必要なAIを呼び出せる仕組みを作りました。
先ほどの動画のように、ユーザー側は「どのAIを使うか」ではなく、「集約AIに相談する」だけで良くなります。
どのように利用しているか
例えば「AIエージェントに関する記事を作成したい」場合を想定した流れがこちらです。
流れと指示は人が考え、指示に対して集約AIが必要に応じて適したAIを呼び出して回答してくれる使い方です。
「集約AI」自体が自動でタスクをどんどん進めてくれるわけではありません（いわゆるAIエージェントのように完全自律で動くものではない）が、ユーザーは「集約AI」だけと会話すれば、複数の個別AIを駆使して目的を達成することができるのが大きなポイントです。
どう実現したか
基本イメージとして、各AIの連携情報を「集約AI」に登録を行っていきます。
個別AIごとに「どんな場面で呼び出すのか」を登録
ユーザーが「集約AI」と会話する際、該当する意図だと集約AIが判断したら、その個別AIを呼び出して結果を取得して返す
AIの情報に加えて、miiboに関する情報を知りたい時に転送するように設定。
文章だけ読むと「難しそう・・」と感じるかもしれませんが、miiboを使うことで簡単に実現できたので、実装をサポートする便利な機能と合わせてご紹介します。
miiboで集約AIを作る際に役立った機能
1. 設定の自動補完機能
集約AIへの各AIの連携は「外部サービス連携」→「Webhooksを利用する」から行います。
miiboで作成したAIと連携する場合は、「miiboエージェントと連携」を選ぶだけ
→ リストからエージェントを選ぶだけでAPIキーなどが自動設定される
その他のAIとの連携や設定の修正は「AIにWebhookの設定を相談する」
→ 設定内容をチャット形式でサポートしてくれるため、貼り付けで良い
※ただし、あくまで補助機能であり、誤りがある可能性もあります
これだけで集約AIへの各AIの連携は出来上がりです。
2. 会話のシミュレーション機能
1.の設定後、想定した会話で個別AIを呼び出してくれるかテストが必要です。連携するAIが複数になってくると、「個別AI-a,bまでは想定通りいっていたのに、個別AI-cを設定したらaを呼びたい会話もcを呼び出してしまった・・」といったケースも発生します。その場合、個別AI-aまたはcの設定を1.のチャットで要領で修正していく必要があるのですが、その確認のために再度すべての質問でテストをし直す手間が発生します。
会話のシミュレーション機能は、AIに聞きたい質問リストを登録しておけば、ボタン1つで全ての質問を自動でAIに投げてくれる機能で、必要なのはログ画面でどのAIを各会話で呼び出したかを見るだけ。そのため、この手間が驚くほど楽になります！
あらかじめ質問リストを登録し、一括テスト
→ どの質問でどのAIを呼び出すのかをログでまとめて確認できる複数の個別AIを連携する場合に特に便利
→ 新しい個別AIを追加した際に、既存AIとの呼び出しルールがかぶっていないか簡単にチェックできる
各AIを呼び出したい代表質問例をリスト化すればボタン1つで確認できる
はじめは人力でテストしていたのですが、途中で試して便利さを知ってからは効率も気持ちも一気に楽になりました・・
多少の試行錯誤は必要ですが、これらの機能をうまく使えば、非エンジニアでも十分に「集約AI」を構築できると実感しました。ぜひ一度試してみてください！
集約AIを運用して得られたメリット
実際に集約AIを運用してみたところ、以下のような多くのメリットが得られました。
1. ユーザー体験の向上
「どのAIを使う？」を意識しなくてOK
新しい人が入っても「とりあえず集約AIに聞いてみて」と教えれば済む
2. 業務効率の向上
集約AIが複数AIの結果をまとめて返せる
→ ユーザー側で情報を再度まとめ直す手間が減る作業がシンプルになり、「タスク達成」そのものに集中できる
3. AIエージェント時代への準備
「とりあえずAIと会話してみる」文化が醸成される
個別AIがより多くのユーザーに活用されるようになり、不足している指示や情報も早期に見つけやすい
これらが本格的に自律的なAIエージェントが出てきた際のスムーズな移行につながる
先日の記事で、「タスクの粒度が具体→抽象へ広がる」変化と「3つの要素」の準備について考えました。今回の集約AIは、そういった準備を実践するためにも有効だと感じています。
終わりに
「集約AI」は、現在の技術でも十分に構築可能であるにもかかわらず、非常に大きなメリットをもたらしてくれます。そして、近い将来に到来すると言われる“AIエージェント時代”への良い準備にもなるはずです。
もし同じように社内にAIが散在している、あるいは使い分けが難しいという課題をお持ちの方は、ぜひ「集約AI」を作ってみてはいかがでしょうか？
まずはよく使うAIから連携してみるなど、小さな一歩からでも効果を実感できると思います！
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