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孤独な研究者の夢想

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認知科学研究・最近読んだ本・統計など研究に関係することを書きます。
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#教育

「生きた知識」をつくる「足場かけ」 【今井むつみ著 親子で育てることば力と思考力】

「中学・高校の6年間かけて学んできた英語、だけどあまりできるようになった気がしない」 「生徒に漢字や計算の方法を教え込んでも、なかなか定着せず、応用がきくようにならない」 そんなこと、よくありませんか? もしかしたらその英語の知識、外から教え込んだ漢字や計算の方法は、 「死んだ知識」になっているかもしれません。 今回は、人が学ぶときに必要な2つの力「ことば力」と「思考力」について、「人が学ぶ仕組み」と「実践へのアドバイス」が大変わかりやすく書かれた今井むつみ先生の「

学びへのIT活用に役立つ書籍4選

来年度からプログラミング教育が必修化されるなか、私たちの生活だけでなく学校にも深くテクノロジーは入りこんできています。 そうなったときに、どのような活用をすればよいのか、ということで迷うかもしれません。そうなったときに道標となるような本を4冊選びました。もし宜しければお手にとって呼んでみてください。 1.シーモア・パパート著『マインドストーム』 サブタイトルが「子供、コンピューター、そして強力なアイデア」ということで、教育の分野にテクノロジーを入れることを想定した著書です

No Child Left Behind Act(落ちこぼれ防止法)のケース 【ジェリー・Z・ミューラー著 『測りすぎ ーなぜパフォーマンス評価は失敗するのか?』】

No Child Left Behind Act(落ちこぼれ防止法、以下NCLB)は、2001年、ジョージ・ブッシュ政権下で施行された教育に関係する法律だった。 日本語で検索してもあまり出てこないこのNCLB。教育界隈では「最悪な法律だった」と評価されることが多いものの「なぜ良くない結果を導いたのか」ということについてはあまり説明がなされていない。 今回は、この「測りすぎ」の中で紹介されていたNCLBと測定執着の関係を見れば、 なぜNCLBが意図とは真逆に機能してしまっ

自分のことば、相手に届いていますか? 【竹内敏晴著 教師のためのからだとことば考】

職業病だからなのか、誰かと話をしたり、関わりを持つときには、自分のことばが相手に届いているか、ということに神経を配ってしまいます。 自分が発した声が物理的には相手に届いているとしても、相手に自分の「ことば」が届いているかは相手の反応を見たりしながらチューニングを合わせて調整していき、なかなかこれがまた難しく、試行錯誤をし続けていくしかありません。 竹内敏晴さんの「話しかけ」のレッスン 私の大ヒーローである、竹内敏晴さんの本を開くたびに、声の出し方というテクニカルなところで