YS3.10 心だってプラクリティだから
八支則の説明を経て、最後の3つのステップであるサンヤマについての説明が続きますが、とてもとても繊細な領域の話をしているからこそのリマインダーとしての役割が大きめな回でした。
※前回は、こちらの「YS3.9 背中は押してもらおう」からどうぞ。
ヨーガ・スートラ第3章10節
तस्य प्रशान्तवाहिता संस्कारात्॥१०॥
tasya praśānta-vāhitā saṁskārat ॥10॥
「The flow of nirodha prinama becomes tranquil by repeated impression.」(1)
(ニローダ・パリナーマのよどみない流れは、繰り返されるサンスカーラによって、静かで穏やかなものとなる)
前回のスートラでは、サマーディ・パリナーマ【samadhi parinama】、エーカーグラタ・パリナーマ【ekagrata parinama】、ニローダ・パリナーマのながれについて、意識的に段階を踏んで起こることだということも書かれていました。そこで大事なのは、何度も練習することだよと書くのはフォーチャプターズ(参考1。以下、フォーチャプターズ)。
そりゃそうでしょうということですが、習慣づけること、継続することが簡単でないからここでまたリマインドをしておこうと思ったのかなと思います。前にも出てきましたね。修習(アビイアーサ)です。
継続するために必要なこと
ヨガのそもそもの目的である心の動きを止滅した状態になるには、修習(アビイアーサ)と離欲(ヴァイラーギャ)が必要だよと書いているヨーガ・スートラ第1章12節。
その次の13節で修習によって継続すると確立されて安定するからねと、とはいえ続けるの大変だよねという声に、その次の14節で深く尊敬する気持ちを持って練習・実践すれば続くんじゃないと提案しています。これも思い出しておくと力になるはず。ぜひ、下記リンクより読み直してみてください。
だから改めて
ヨーガ・スートラは、これやったら、こんないいことあるよという説明があって、まずはそれを実践・継続のモチベーションに据えられるようにできています。今回は、フォーチャプターズが、この3つの段階でもたらされる変革は、想像上のものではなく、実際の心の分子構造の変化であって、脳も変化するんだよと書いているところ。心に変革をもたらそうという意思が大事だよと付け加えられています。
そしてさらに第1章4節にあてはめて考えてみるならば、そこに忍耐できるほどの興味や魅力を感じられるかと、もうひとつは深く尊敬する気持ちを持てるかどうか。
毎度のことながら、フォーチャプターズは解読の難しい長い解説がついているのですが、この3つの段階を踏む大切さを、段階を踏まなかったらこうなるよという説明に、ここから先の詳細は(いまは)述べる必要はないだろう等々と、あふれる想いがのぞけます。
面白いなと思ったのは、インテグラル・ヨーガ[パタンジャリのヨーガ・スートラ](参考2)は本スートラの訳を「二ローダ・パリナーマの持続状態は、習慣づけによって確実となる」と意訳多めにして、解説なし。珍しくドライ!(ということでもないですが)
そしてハリーシャ(参考3)は「つまりは、ほんっと心って動くよね!ってことだよね」といたずらっぽい笑顔でまとめます。でもそりゃそうなわけです。心だってプラクリティ、または〈見られるもの〉、つまりは必ず変化するものなわけですから。そしてヨガをする人たちは、もうよく知っている。
だから前提として、変化するものであることを理解する。だからそれは簡単ではないことを知ってのぞむ、、のが、わたしは向いているかなと思うのですが、皆さまいかがでしょうか。きっとそれぞれのやり方が大事。
こんな繊細なサンスカーラにまで触れにいけることがあるのかなと思いながらですが。ぼちぼちゆきましょう。
少なくても2週間に1回は更新したいと書いた舌の根が乾かぬうちに、一カ月空きましたが、こりずにお付き合いいただけると光栄です。
またここでお待ちしています。
※ 本記事の参考文献はこちらから