転職活動
ともだちから聞いたはなしなんだけど、
某ユーザー系システム会社に勤めてて、
まあ評価とかも、同期で見ても中くらいだったんだと。
とびきり能力があるわけではないけど、比較的システムの会社によくいる人たちと競合しないところで戦ってたからまあそこまで落ちぶれることもなく。周りの人たちにも恵まれて、むしろよくできる方だと思い込んですらいたタイプ。
でもそれは中堅までで、新卒から10年以上経ったところで誤魔化しが効かなくなったというか、そこから先評価されて出世するのは本当に実力のある頑張ったひとだけなのに、
じぶんが正当に評価されていない、自分の能力(何かあるわけでもないのに)は他でもっといきるはずだ、と原因を外に向け、転職活動をし始めたらしい。
自己分析とはよく言ったもので、転職活動をすると、自分がいかに何も持ってないかということに気づく。
新卒の時に書いていた自己PRは、
社会とは何かをわからない若造によって妄想でしたためられ、
しかも採用担当や時として役員さまに偉そうに喋られていたという、
いま思い返すだけで恥ずかしいような内容であった。
それでもまだマシだったかもしれない、いまの彼はなにも書けない。
「自分がしてきたこと」は、
会社員であればそれはある意味、
「会社にさせてもらってたこと」である。
こんなことを今まで経験してきました!
とは言えても、
だからじぶんはこんなことができる人間です!
というのは、自信を持って言えない。
それでも親切な面接官が、
「あなたはその経験の中で、あなたならではの能力や工夫で困難を乗り越えましたか?」
と聞いてくれる。
彼は、それっぽく語るが、
それって他の人にもできないの?と、
次の質問が来ないことをいつも願っている。
親切な面接官たちのおかげで、面接を重ねるにつれ、それっぽく語るのが上手くなったのと、
どうやら面接官は、というか、彼が志望していたコンサル業界の面接は、
どういう経験を積んできたのか、
が大事なようでそればかり聞いてくる。
それでは自分のような表面的な転職希望者を見抜けないぜ?と思ったが、
それは彼が非コンサルのシステム出身だったからなのか、本人が主観で語る、「自分はどういう人間だ」なんてのは信じるに値しないのか、彼にはわからないことだった。
なんやかんやでオファーを数社からいただけることとなったのだが、転職活動を通じても、
じぶんは何が得意で、社会という大海に放り出された時に何ができる人間なのかは、
結局わからずじまいだった。
そんなことだから、このあと会社の上司に退職の相談をしたときに、あんなことになるのである