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介護現場におけるプライバシーの問題【プライバシーの保護研修】

こんにちは、とも(@tomoaki_0324)です。

今回は「介護現場におけるプライバシーの問題」について解説していきます。

☑ 筆者(とも)

記事を書いている僕は、作業療法士として6年病院で勤め、その後デイサービスで管理者を4年、そして今はグループホーム・デイサービス・ヘルパーステーションの統括部長を兼務しています。

日々忙しく働かれている皆さんに少しでもお役立てできるよう、介護職に役立つ情報をシェアしていきたいと思います。

介護職として勤めていると、誰しもご利用者の『プライバシーの問題』に、ぶつかったことがあると思います。

介護現場では知らない間にプライバシーを侵害している場合もあれば、どうしてもプライバシーを守るのが難しい場合もあります。

そして放っておくと大問題まで発展することも…。

年に1度の研修で、全スタッフへ"プライバシー保護の取り組みに"ついて周知させることは非常に重要です。

本研修資料が御社の施設運営に、少しでもお役立てできれば幸いです。

内容は次のようになります。


文字数は6000文字程度です。

研修時間としては30分程度の内容になります。

途中から有料とさせていただきます。

是非、読んでみてください。

プライバシーとは

プライバシーとは、
個人や家庭内の私事(わたぐしごと)・私生活。個人の秘密。また、それが他人から干渉・侵害を受けない権利のことです。

具体的すると下記のようになります。

  • 個人的な日常生活や社会行動を他人に興味本位に見られたり、干渉されたりすること無く、安心して過ごすことが出来る自由

  • 自分が望む生き方を自由に選択し、他からの支配や干渉を受けず、自分の考えたやり方で行動し、その行動の結果に責任を持つこと

  • 個人の容姿、人格、性別、考え方、宗教、思想、生き方、病歴、経歴、前科等が国家や他人に否定や干渉されたり、差別や誤った印象を受けない権利

  • 個人の情報を自己でコントロールすることができる、もしくは事業者に提供した個人情報が法律に則り保護される権利

  • 個人の顔や体等を許可なく撮影されたり、公開されない権利

  • 個人が開示した情報を公衆へ誤認させるような印象操作を受けない権利

昔はプライバシーというと、「個人の『私生活における自由』を他人にみだりに見られたり、干渉を受けないという権利」というイメージでした。

しかし、インターネットの発達と普及による情報化社会において、
電子データ上の『個人情報の保護と削除についての権利』もプライバシーとされています。

また「個人が持つ多様な考え方や価値観が尊重されることや、経歴や宗教、思想などによる不当な差別や偏見を受けない権利」もプライバシーと考えられるようになりました。

プライバシーの侵害とは

"プライバシーの侵害"とは何なのかを具体的にお伝えしますと下記のようになります。

  • 私生活を興味本位で探ったり、覗こうとしたり、住居等に侵入したりすること。

  • 他人に知られたくない個人の秘密や私生活について、公開したり、噂を流したり、干渉したりすること。

  • 個人情報の公開により、他人に自己の真の姿と異なる誤った印象を与えること。

  • 氏名や肖像を他人が自分の利得のために流用すること。

  • 自分の姿が映り込んだ写真を許可無くテレビやインターネット上等に公開されること。

  • 個人情報が流出したことにより、日常生活や精神的に支障をきたすこと。

  • 自分の望み通りに選択することができず、行動が他人の裁量に委ねられる状態。

  • 容姿、人格、性別、考え方、宗教、思想、生き方、病歴、経歴、前科等を理由として、差別や偏見を持たれたり、社会生活において否定や干渉を受けること。

このようにプライバシーの侵害とは多様な価値観の混在する現代社会において、個人の権利と自由が、他人により侵害されることを意味しています。

介護施設ではプライバシーが守られない!

プライバシーとは何か、プライバシーの侵害とは何かを理解すると、介護現場ではプライバシーを守ることができないことがわかります。

当たり前ですが、自宅で自立した生活を送ることができれば、自分の思い通りに生活を送ることができます。

好きな時にお風呂に入り、好きな時に外出し、好きな時に食事をとることができます。

しかし介護施設で介護サービスを受けると、施設のタイムスケジュールに合わせた生活を送らないといけません。

介護サービスでは、入浴日が定められ、毎日お風呂に入ることができなかったり、施設の都合により午前や午後に入浴時間が割り振られたりします。

また、食事においても、同じ空間に居る他人と同じ物を食べるなどバリエーションが少なく、同一のことを強いられる環境です。

自分の望み通りに行動を選択することができず、自己決定権がありません。

それは、介護サービスを受ける要介護高齢者のプライバシーが守られないことを意味しています。

プライバシーの概念が変化し、多様な価値観や個人の自由が尊重される社会において、残念ながら介護サービスでは、業務の都合により真逆のことが行われている状況です。

介護を受ける側の気持ち

要介護高齢者介護が直面するプライバシー侵害について介護を受ける側に立って想像してみましょう。

①事故防止を目的に様々な行動を監視、もしくは禁止される。
②入浴の際に裸を介護職員に見られる。業務時間の都合で丸洗いされる。
③昼食やレクリエーションのバリエーションがない。
④排尿や排便をしている姿を安全のため介護職員に監視される。
⑤排尿や排便を失敗する姿を多くの介護職員に見られる。
⑥送迎の際に部屋の中まで施設の職員が迎えにくる。
⑦入所すれば生活全般の行動を施設職員に見られる。
⑧入所して介護を受けると、個人の自由な行動が制限される。
⑨要求や要望が多いと、あの人はワガママでうるさい人という印象を付けられる

高齢者は日常生活において、自分のことが自分で出来なくなり、やむなく介護を必要とする状態に陥ります。

介護をお願いするということは、自分の身体や生活の場を他人に見られ、干渉されることで、精神的な苦痛を味わうことや、介護を受ける高齢者が職員に気を遣い我慢する状況が発生するということです。

介護に携わる職員は、そのことを理解し、必要以上に要介護者のプライバシーが侵害され、人としての尊厳が失われないように注意が必要です。

介護現場のプライバシーを考える

介護度が重度化するほど、個人のプライバシーは無くなっていきます。

4つのパターンに分け、プライバシーのことを考えてみましょう。

1、自立した元気な高齢者の場合

若者から、「年だから無理しないでね」などと声を掛けるたり、
または、自分より年配だからと気を遣って、電車の席を譲ろうとすると相手の高齢者はどう感じるでしょうか。

「ありがとう」と感謝されることもありますが、人によっては「自分のことを年寄り扱いして、余計なお世話だ」と急に怒り出したりもします。

容姿、性別、年齢等を理由として、差別や偏見を持たれた、または社会生活において否定や干渉を受けたとされプライバシーの侵害にあたるかもしれません。

難しいですね…。

2、介護度の軽い要支援者(軽介護)の場合

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