社会人留学の後悔・英語・キャリア|英語編/留学6ヶ月目の英語力の実際と話せない人のためのおすすめ勉強法
アメリカに留学しに来て、半年が経ちました。この半年間、英語学習にだいぶ時間とお金を注いできました。おかげで英語も上達し、シアトル生活がとても楽しくなっています。
このnoteでは、日本で英語学習をしたいと思っている人や、留学中だけど英語に自信がない人に向けて、「スピーキング」を中心とした、英語の学習方法を紹介します。
英語学習に関する誤解
TOEIC845点のスピーキング能力は高いのか
「英語が使える」ということは、実質、「英語が話せる」ということ。では、英語を話せるようにするために、何をすれば良いのでしょうか。
TOEICで845点を取っていても、留学前の僕は、全く喋れなかったです。
TOEICは基本的にリスニングとリーディングです。それは、スピーキングとはほとんど別の能力。スピーキングは、いくらTOEICをやっても身につきにくい力だと思います。
TOEICの点数を指標にする日本の労働力市場は正直、謎です。読み書きの英語ならGoogle翻訳を使えば実務は足りるはずで、ビジネスで本当に求められるのは「話す力」です。それはTOEICでは測れない。
「ビジネスレベルで英語を使えるようになる」ことを目指して、僕は半年前、アメリカに来ました。
留学に来れば自然と英語が伸びるのか
ただし、留学に来ても、自然と英語が伸びるわけではありません。アメリカに来ただけで英語が自然と上達する、なんてことは絶対に起こりえない。アメリカに来たとしても、地道な努力と個人練習が必要だということに、留学2ヶ月目でやっと気づきました。野球素人の僕が、メジャーリーグの球団に加入しただけでは野球が上手くならないのと一緒です。大谷翔平とキャッチボールを毎日やっても、僕は大谷翔平になれません。
留学に来て英語を伸ばした実感はありますが、その90%は自宅に引きこもって、ひたすら練習することから得られました。「それなら日本でもできるじゃん」と思われそうですが、実はそうではないのが留学の醍醐味です。
留学費用は「モチベーション」と「時間」に払っている
僕は、数百万円の留学費用を、「モチベーションが維持できる環境」と「英語を勉強できる時間」の2つに対して払ったな、という感覚があります。
第二言語学習論では「動機付け」がいちテーマになります。それほど「動機」は効果的な言語学習において重要です。その点留学は、多かれ少なかれ日常的に英語を使う必要があるので、モチベーションは日本よりも自然と高く維持できます。
また、英語学習は時間もかかります。僕は、ほぼ毎日、英語スピーキング練習を1日2~3時間やっていますが、日本で仕事や生活をしながら、毎日その時間を現実的に確保できるとは正直思いません。通勤時間中にブツブツスピーキングするのもはばかられますし。留学中は比較的時間に余裕があります。その空き時間を英語にぶっ込むことで、飛躍的な伸びが期待できるのです。
「英会話」と「スピーキング」は似て非なる練習
僕の好きな例えで、「サーフィン」と「スケボー」があります。「英会話」はサーフィンです。波が来るのを待って乗ります。一方「スピーキング」はスケボーです。アスファルトで、自分でゴリゴリ進められます。
オンライン英会話でも、ネイティブとの日常会話でも、この「波待ち」というのが非常に長いです。自分が乗れる波(聞き取れる単語、話せるトピック)というのは限られています。乗れる波が来なくて、黙りこくったまま終わることもしばしばです。
スピーキングは「発話」によって英語能力を高める訓練です。前職の法務部長(USのロースクール経験あり)が、「英語はスポーツ」とおっしゃっていました。身体性が大事なのです。実際に口を動かし、音を出す動作を、体と脳に沁み込ませる感じです。この練習を、英会話の前に、個人で行うことが重要です。
「キャディ」のnoteの中で、エクセルをスポーツに例えている章がありました。曰く、「スポーツの正しいフォームは、一般的に慣れない内は窮屈なもの。しかし慣れたら脊髄反射で使えるようになります。あとで楽するために、今は耐える」。英語がスポーツ、というのも同じです。文法、発音、コロケーション、全て慣れないですが自分を型にはめていくのです。
「スピーキングを中心にした英語学習」というのが、僕の中でのパラダイム転換でした。留学に来たばかりの頃は、周りの英語力に圧倒されてばかりでした。「語彙が足りない」と思ってシス単を倍の値段で輸入したり、英語でアイン・ランドの本を読もうとしたり、英語系Youtuberの動画を見まくったりして、何度も失敗しました。
おすすめの勉強法|英語のハノン、ビズメイツなど
スピーキング練習の王道「英語のハノン」
そんな中で出会ったのが、「英語のハノン」です。スピーキング練習の基礎練習に最適です。
「英語のハノン」が自分の中で最も英語力を伸ばせた練習です。1日2~3時間進めて、約30日で初級〜上級を一周しました。その1ヶ月で、英語スピーキングの指標「CEFR」をB1からB2 highまで上げることができました。英語スピーキングに慣れ、自信がついてきた頃です。その後も上級を中心に3周、4周と続けて練習しています。
まずこの表紙デザインがいいですよね。英語を「楽しそうに見せない」。敢えて「地味に、つまらなそうに見せる」。そうです。この本の練習は「良薬は口に苦し」と言いますか、決して楽ではないです。むしろ上手くできなくて悔しい瞬間が多いのですが、悔し涙を流しながらやる練習ほど効くものはない。真摯に作られた本だと思います。
中身は、文法項目ごとに、英語のリプロダクションの練習問題が載っています。「英語の基本文型」から「倒置」「過去完了系」まで、大半の文法事項を網羅しているので、多くの文法の型を身につけながら、口も慣らせるという最高の教材です。
本書の公式ホームページも素晴らしいです。まず、英語の音声がHP上で全て聞けます。わざわざ専用のアプリを使ったり、音声ファイルをダウンロードする手間がなくて良い。
そして公式ホームページ上の「コラム」。これが珠玉です。著者の2人のリレー形式によるコラムは、英語を話す上で重要な心構えや、制作の裏話が多数載っています。自分が好きなのは、"Integrityを持って英語を話す"の回です。
僕のような「TOEICは取れるけど、スピーキングに自信がない」人には、特におすすめです。ぜひ試してみてください。
ビジネス英語のボキャブラリー構築に「Bizmates」
英会話サービスも、ひと通り経験してきました。対面の「ベルリッツ」(40万円)、「ネイティブキャンプ」、「ベストティーチャー」など。その中で最もハマって、今でも続けているのは「Bizmates(ビズメイツ)」です。
ビズメイツの有名なヒカさんは、過去にベルリッツで教材を作成されていたようです。ベルリッツのビジネス英語教材もしっかり作られていましたが、ビズメイツも負けず劣らずでした。
ビジネス関係の授業を大学で取っていると、ビジネスの現場に近い議論を教室ですることになります。それには、直接ビジネスに関わることだけではなく、「ミーティングをいつやるか」「どんな順番でディスカッションをするか」といった、チーム運営やファシリテーションといった内容も含まれます。その時に、ビズメイツで得たボキャブラリーがとても役に立ったなと思います。
ボキャブラリーに関して言えば、単語帳を丸っと覚えようとしても、日常で使わなければすぐに忘れてしまいます。試行錯誤した結果、日常ベースで語彙を習得する方が、時間はかかるけど生きた英語になるな、と思っています。それを最大化させるために、英語に長い時間触れる。僕はいまでもビズメイツを毎日100分やっています。語彙を耕すためです。
ということで、ハノンで英語の足腰を鍛えつつ、ビズメイツで語彙習得&英会話を楽しむ、というのが良いかなと思っています。
留学半年経っての英語力の実際
プレゼンもミティーティングも面接も怖くなくなった
留学に来て、英語力は下記のように変わりました。
プレゼン
留学直後:英語のプレゼンはスクリプトの読み上げ、もしくは丸暗記で対応。Q&Aが怖くて人任せ
留学半年後:スライドさえ作れば、通しの練習をしなくても、英語で一人で10~15minのプレゼンができる。Q&Aをハンドリングし適切に打ち返せる
ディスカッション
留学直後:チームディスカッションで発言ができなくて、書記に徹する
留学半年後:ビジネスのチームディスカッションを、英語でファシリテートし、成果を出す
英会話/面接
留学直後:ホストファミリーとの会話に入れなくて聞きっぱなし
留学半年後:英語の面接で好印象を与えられる
それは、先述のハノンやビズメイツを中心とした個人練習のおかげだと思っています。
「ロマン」としての英語学習
ただそれでも、アメリカ社会においては、下位1%くらいの語学力だなと思います。アメリカで出会う人の全員が、自分より英語を話せます。クラスでの成長実感と、実社会での悔しさを行き来しながら、自分の英語の成長機会を探す毎日です。
現地の友人と映画を見に行った帰り。ネイティブスピーカーであるその友人に聞きました。「映画のセリフを、一言一句すべて理解しているのか」と。彼はすべて理解できているそうです。自分の場合は、ストーリーは追えたとしても、セリフの解像度は40%くらいで、リプロダクションできません。
ネイティブスピーカーとの歴然とした差がそこにはあります。多分一生かかっても埋められないかもしれない。けど、自分の人生を豊かにするために、追い求める価値はある。そんな「ロマン」ですらある英語学習の世界に、僕は足を踏み出しています。