【施設紹介】 鞆の浦・さくらホーム
広島県福山市の南部に位置する鞆の浦(とものうら)は、瀬戸内海の中央部にあり、万葉の時代から「潮待ち」で栄えた港町です。現在では、古い町並みや港湾施設が残り、情緒溢れる町として多くの方に愛されています。この港町を拠点に介護福祉事業を展開する「鞆の浦・さくらホーム」は、約20年前から地域共生のまちづくりに取り組みながら、ノーマライゼーションの心を大切にしています。この記事では、さくらホームが誕生したストーリーや介護事業所について紹介します。
鞆の町と共に歩む、さくらホーム
さくらホームを作ることとなったきっかけは、今から約30年前に創設者である羽田冨美江(理学療法士)が義父の介護を経験したことにあります。脳梗塞の入院加療を終えた義父を自宅で介護する中で、あることに気が付きました。
それ以降、同じ思いをもつ仲間や地域の人々と共に、介護や福祉を通して「地域共生のまちづくり」を進めていきます。鞆にある築300年の商家が取り壊されるのを聞いたタイミングで、介護施設・さくらホームとして再生させることを決意しました。
2004年に多くの方の協力を得ながら、鞆の浦・さくらホームは開所しました。開所当初は、住民の理解を得るのに時間がかかりました。認知症グループホームとデイサービスの運営から始めましたが、利用者さんと町で散歩や買い物をしていると「あんな状態の人を歩かせていいんか」「見せ物にするんか」などの声が聞こえてきます。認知症高齢者を受け入れる意識が乏しく、どれだけ必要性や熱意を伝えても怒鳴られることもしばしばありました。
最初の5年は無関心との闘いでしたが、5年が経過すると徐々に変化が見えてきて、10年経った頃には明らかに町の人々の意識が変わっているのが分かりました。そして、15年が経った頃から、住民の皆さんと一緒に地域で共に暮らす豊かさを感じることができています。地域の力が高まり、「地域共生」のまちづくりを地域の人たちと一緒に進めているという感覚です。
地域住民が何かしらの「変化」を受け入れるには時間がかかりますが、鞆の浦・さくらホームは、地域住民との関係性を日々丁寧に紡ぎながら、誰もが安心して自分らしく暮せる町を目指し活動を続けています。
介護施設のご紹介
さくらホームは、広島県福山市鞆町を拠点に、グループホーム、デイサービス、小規模多機能居宅介護、居宅介護支援事業を展開しています。
◆ 鞆の浦・さくらホーム
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
築350年の古民家を改修し、2004年に開所したグループホームと地域密着型デイサービスです。グループホームは鞆の浦にゆかりのある方々の地元に溶け込んだ自然な生活を、デイサービスでは地元の食材を使った食事や、ひのき風呂での入浴はもちろん、地域のこども園や小学校、町内会などと連携をとりながら、利用者さんに日常生活の豊かさを感じていただくための支援を行なっています。
◆ さくらホーム・原の家
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
2011年に開所した小規模多機能型居宅介護です。鞆町の北側の集落を拠点に、29人の定員で運営しています。ご自宅での生活を継続するために、通いと訪問、泊まりを組み合わせたサービスで支援をしています。利用者さんは地元の人ばかりなので、ご近所さんがふらっと遊びにきてくれたり、散歩中に声をかけてくれたりする、そんな環境です。
◆ 鞆の浦・さくら荘 いくちゃんの家
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
2009年に開所した小規模多機能型居宅介護です。鞆町の南側の集落に位置する民家を拠点に、12人の定員でこぢんまりと運営しています。みんなで昼食をつくったり、コタツでみかんを食べながら昔話に花が咲いたりしています。いくちゃんの家にはご近所の方がよく遊びに来られます。
◆ さくらホーム・おおの家(兵庫県相生市)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
2008年に開所した、兵庫県相生市にある地域密着型のデイサービスと小規模多機能型居宅介護です。代表・羽田冨美江の実家を改装して運営しています。訪問と通いと泊まりを組み合わせながら、利用者さんの在宅生活を支えています。関西ならではのユーモア溢れる利用者さんとの会話が飛び交い、いつも笑いの絶えない職場環境です。
さくらホームの3つの特徴
◆ ノーマライゼーションの想いを大切にした風土と町全体で見守るための拠点作り
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「ノーマライゼーション」とは、デンマークで誕生した概念で、お年寄りや障がいのある方を含めて、年齢、性別、国籍問わず誰もが当たり前の生活を送れるように社会の環境を整備していこうという考え方です。高齢者や障がい者も、そうでない人と同じように日常生活を送れる社会の実現を目指しています。さくらホームが運営する各拠点は、鞆に住む方の生活区域の約400m圏内に設けています。生活に近いところに拠点があれば、地域の人たちも気軽に施設に出入りでき、利用者さんも地域に顔を出しやすくなります。
◆ 想いを同じくするスタッフが続々と移住
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
さくらホームには、介護福祉士や看護師、ケアマネージャー、社会福祉士、作業療法士、保育士、柔道整復師など、多くの分野のスペシャリストが在籍し、利用者さん一人ひとりに丁寧に関わっています。スタッフの中には、愛知や京都、沖縄など、県外から移住してきてくれた方もいます。また、親和の想いに共感し施設の見学にこられる全国各地の訪問者は、年間約300人以上いらっしゃいます。
◆ 大自然と文化を感じながら豊かな心で働ける
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
職場のすぐ近くには海があります。利用者さんのお宅へ訪問する道中には海が見え、瀬戸内の穏やかなさざなみや風の音、鳥の声が聞こえるためとても心が癒やされます。お昼休みは海にいってリフレッシュするスタッフもいます。鞆の浦ならではの、ゆっくりとした時間の中でのびのびと活動することができます。
施設概要
ノーマライゼーションや地域共生のまちづくりというと「理想社会」を作ることだと感じるかもしれません。しかし、さくらホームが目指しているのは、色んな人が町で普通に過ごせる環境を作ることです。それは、理想というよりかは、当たり前の社会だと考えています。
半径5mに幸せが見つけられる町、鞆の浦。
私たちはこの地域に責任を持ち、誰もが安心して暮らせる地域共生のまちを実現するために、これからも地域と共に成長を続けていきます。
さくらホームは、SNSにて事業所内の日々の様子や取り組みについて発信しています!介護や福祉に興味のある方、まちづくりに興味のある方、鞆の浦に興味を持ってくださった方はぜひチェックしてみてください。
◆ クランクInstagram
◆ 燧冶Instagram
◆おおの家Instagram