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鞆の浦・さくらんぼに通う我が子と私 -中島愛美さんに聞く

放課後等デイサービス・さくらんぼに通う双子の母・中島愛美(なかしま・まなみ)さん。中島さんは、双子を含む4児の子育てをする傍ら、さくらホーム(さくらんぼを運営する介護施設)の職員として開所当初から携わられています。

のびのびと育つ我が子を見守る母として、また、さくらホームの一職員として中島さんが鞆の浦で考える「地域共生」とは何なのか。お話を伺いました。

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さくらんぼに通う我が子の成長と未来

ーー 現在はさくらホームのグループホームで働きながら毎日子育てに奮闘されている中島さんですが、双子のお子さんがさくらんぼに通うこととなったきっかけを教えてください。

さくらんぼに通う双子は、現在小学校3年生です。さくらんぼには1年生の頃から通い始めました。最初は学童との併用で週1回、現在は週6回利用しています。5歳の時に、通っていた保育所の先生にADHD(注意欠如・多動症)を指摘されたことで、発達診断に連れて行き判明しました。

子育てをする中で「お調子者だな」と思う場面は多々あったものの、双子ということもあり非常に判断しづらい状況でした。1人を注意している時にもう1人がその様子を茶化したり、一卵性双生児なので2人が入れ替わる嘘をついて人を揶揄ったりするなど、日常的にテンションが高い状態でした。しかし、これがADHDの影響なのか双子特有のものなのか分からずにいたのです。

診断がつき、小学生から放課後等デイサービスを利用することにしました。サービスは、年に1回市役所に行って「何日使用したい」という希望を申請することで利用できます。さくらんぼを選んだ理由は、顔の見える関係の方々に見てもらえる安心感と、お迎えの行きやすさなどからです。

双子が1年生のうちは、6年生の長男に迎えを頼むことで学童と併用しさくらんぼを利用していました。しかし、お兄ちゃんが中学生になり2人だけで下校するようになると、帰り道に遠くの方に遊びに行ってしまったり、次第に無謀な遊びをしたりするようになり、母として2人の身の危険を感じ不安になることが増えました。私の一馬力で4人を育てているため仕事は減らすこともできず、2年生からはさくらんぼに通う回数を増やすことになります。

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ーー さくらんぼに通うようになり、双子のお子さんに何か変化はありましたか?

子ども達はとにかく楽しいばかりで「さくらんぼ大好き」といつも言っています。特に、職員さんが大好きみたいですね。先生って言うと少し怖い印象があるかと思いますが、さくらんぼの職員さんは皆さん優しく子ども達を受け入れてくれるんです。私自身は介護施設でしか働いたことがないのでさくらんぼの状況をあまり詳しく知りませんでしたが、とにかく毎回いろんな遊びをさせてもらって、パワーを発散して帰ってきます。

さくらんぼに通うようになって変化したといえば、自分達でモノを作るようになったことです。さくらんぼでは、欲しいものは職員さんと考えながら作るみたいです。例えば、弓矢とか剣とか武器とか。作ったものは家に持って帰ってきて、嬉しそうに見せてくれます。

そのような習慣が身につき家でも色々と作ろうとするので、1人に1つずつ工具箱を持たせてみました。すると、先日は段ボールと工具箱を持って外に行き、何をしているのかなと思って観察していると、自転車にマフラーや羽根をつけていました(笑) 最近、漫画でヤンキーを知って憧れていたんだと思います。さくらんぼで特攻服も作ってもらい、改造自転車の前に立って「写真撮っていいよ」ってかっこよくポーズを決めていました。ものすごく気に入っていて、よく乗り回しています。

このように、以前まではすぐに「買って」といっていたものを、まずは「考えて作る」ようになりました。頭で考え、そしてアイデアを形にする力は、さくらんぼで身に付いたのだと思います。母としてはとても嬉しい変化です。


ーー 中島さんから見て、お子さん方は障がいというものをどのように捉えていると感じますか。

2人は「障がいがあるけぇ、さくらんぼ行けるんじゃろ」と言います。障がいがあることを理解しているものの、それをネガティブに捉えるのではなくむしろ個性として受け入れているといった感じです。

学校は地元の小学校の支援学級に通っているのですが、周りの子のように上手くできず自信を無くしやすい状況はおそらくあると思います。しかし、さくらんぼで全てを受け入れてもらえるので、それが少しずつ自信に変わってきています。ありのままの自分・個性を受け入れてもらえるから、自己肯定感が高まってきているといった感覚でしょうか。

まだまだ2人にとって、さくらんぼは必要な存在だと感じます。


ーー 今後、双子のお子さん達がどのように育ってほしいと思われますか?

あの子達の中に、健常者とか障がい者とか、高齢者だからとか、そういった壁は本当にないんですよね。むしろ私の方が色々考えたりしていて、子ども達から逆に教えられます。

鞆という地で、さくらホームやさくらんぼと関わりながら、自然と「ノーマライゼーション」の考え方が身に付いているのだと感じました。そういう感覚を大切に、このまま育って欲しいなと思います。

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さくらホームで働く4児の母
子育てと仕事の両立

ーー 4児の子育てをしながらお仕事もされている中島さんですが、育児をする中でさくらホームでの働き方はどのように変化してきたのでしょうか。

最初はグループホームの夜勤専属で働き始め、1人目を妊娠したタイミングで日勤で働くようになりました。出産後間もなく次の妊娠が判明しましたが、代表の羽田冨美江さんから「子どもも一緒にきたらいいよ」といってもらったことから、幼い我が子もつれて小規模多機能居宅介護施設の現場に3ヶ月間だけ復帰しました。入居者の方が子どもと遊んでくれたり可愛がってくれたりしたので、すごく有り難かったです。

2番目の子が生まれてからは1年間育休をもらい、子育ての関係で夜勤ができないためデイサービスの現場に復帰させてもらいました。

双子を出産した後は1年3ヵ月の育休をもらい、デイサービスにパートとして復帰しました。3年間はパートとして働き、常勤での勤務が可能になるタイミングでグループホームへ異動しました。グループホームは、夜勤があるけれど平日に休みも取りやすかったので、働き方としては良かったです。

4人の子ども達は、さくらホームによく遊びに来させてもらいました。職員の方も利用者さんも温かく迎えてくれるので、子ども達も喜んでいました。お風呂掃除などのお手伝いも経験させてもらうなど、一緒になって子育てをしてくれた職場の方々にはとても感謝しています。

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ーー 中島さんが仕事でやりがいを感じるのはどんな瞬間ですか?

現在働いているグループホームでは、利用者さんにじっくりと深く関わることができるのが魅力だと感じています。家族みたいな関係性の中で、繋がりのこい時間を過ごしています。利用者さんを支援する中で、家族の力は必要不可欠です。特に、良いお看取りをする際には家族との密な連携が大事になってきます。

地域や家族とともに「最後までその人らしく生きる」というのを支援できたときに、ものすごくやりがいを感じます。


ーー 最後に、中島さんが今後チャレンジしたいことがあれば教えてください。

さくらホーム内の他部署交流の時間が増えていくといいなと思っています。例えば、さくらんぼの子ども達がさくらホームに遊びに来たり、逆に、さくらホームの利用者さんがさくらんぼに遊びに行ったりする機会を増やしたいです。

子どもから大人、障がいの有無や程度に関わらず、みんなが交わっていく文化をもっと浸透させていきたいです。そのためには、私たちが出来る目の前の小さなことから、まずはやってみることが大切だと思います。

母として、またさくらホームの職員として、私はこれからも「地域共生」とは何かということを考え続けていきたいです。


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中島 愛美 / さくらんぼに双子を預ける母・さくらホーム職員
広島県福山市出身。4児の母。ヘルパーを取得後、他業界での勤務を経てさくらホームへ就職。グループホームや小規模多機能居宅介護施設、デイサービスにて介護業務に従事する。双子の次男・3男が放課後等デイサービス・さくらんぼへ通っている。


【取材・文・撮影=河村由実子】

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