女性ファッション雑誌キャッチコピー解説ーその1ー
これから不定期で女性ファッション誌に登場するキャッチコピーやボディーコピーの中でいいなと思ったものを選び、そのよさを紹介していきたいと思います!
コピーライターといえば、通りすがりの人の目を引くようなフレーズやわかりやすいショートセンテンスを作る人のことを思い浮かべる方も多いとは思いますが、実は「いい言葉を書く力」と同じくら「いい言葉を選ぶ力」も同じくらい重要なのです。
そこで「いい言葉を選ぶ力」を鍛えるために、最近こちらのアカウントの運用を始めました↓
こちらで紹介しているものの中で学び深かったコピーをご紹介させていただきたいと思います。
今回は2021年2月号のarとVERYに掲載のあったコピーやボディーコピーを4つご紹介いたします!
まずは2021年2月号のarから1つご紹介いたします!
No.1
お肌で変わる運命もある 真冬のスキンケア読本
「なんか顔、疲れている?」
これビューティに頑張る全女子が
もっとも言われたくない恐怖のワード!
そういう時ってだいたい
お肌の調子が悪くて
顔色が冴えないことが多い。
乾燥に負けず
くすみに負けず
いつもピカピカでバラ色に輝いている。
そういうお肌に私たちはなりたいのです!
今月号は、そんなお肌になるためのアレコレを紹介。
手っ取り早く服で顔色を明るくする方法から
とっておきのサンプル術まで。
あなたの顔色、arが守ります。
2月号はたくさん読みましたが、正直この2月号シリーズの中で群を抜いて優秀作品だと思います。
岩崎俊一さんの名作、日本郵政の年賀状は贈り物だと思うを踏襲した基本に忠実な明瞭な内容だと思います。
4つのまとまりを通して起承転結をしっかり実現させています。
起:「表情の話」をするよ!という導入
承:表情から肌の話に橋渡し
転:宮沢賢治の雨ニモマケズのリズムに擬えて、笑いを誘いつつ、軽やかに読者のインサイトを代弁
結:このコンテンツの主旨と主体の立ち位置をストレートに説明
でWhat to sayは組んだのだと想像します。
短い文章の中で気持ちが動くストーリーがあり、その動線を感じながらも読んでしまう文章はとても機能的でいい文章だと思いました。
あとさりげなく笑いを誘うウィットに富んだギャグを入れておくところに品を感じました。
No.2
令和のPRADA愛、急上昇中
いつかはこの組み合わせは出てくるはずだったんんです。
「平成最後の〇〇」はいろんなところで使われていたフレーズだったのに「令和最初の〇〇」はほとんど見かけなかったような気がしています。
PRADAが既に一定の認知があるからこそ、気を衒い過ぎないで振り向いてもらうような工夫が必要だと思うのですが、ちょうどいい距離感の言い回しだと思いました
No.3
努力に、「しなやか」なんて必要ない
VERYの読者ターゲットはハイスペ既婚者子なしか旦那さん超高収入主婦となってると思います。
そういった方々は何事もスマートにこなしていくイメージを持たれがちですが、庶民には分からない当人にしか分からない事情は多かれ少なかれあると思います。
努力が必要であることは肯定しつつ、傍からの見え方なんて気にしなくてもいいこと伝えてくれる、わかりやすいコピーだと思います。
No.4
ご飯を作りたくない日は吉野家へ。牛皿買って夕ご飯。そんな夜があったってかまへん!
これをVERYが言ってくれるのは痛快だと思いますw
同じことを言うにしても、立場によって変わってきます。
VERYが高所得層に対して憧れを提供している雑誌だからこそ、
その読者層の夢や理想を守りつつ、
誰も言わないことを言う姿には改めて尊敬の念。
過去に育休復帰後の離職を肯定する記事を出したり、
代理母出産を促進するような記事を出して
話題になったこともあるVERY。
でも確かにそれらの選択肢はあるし、
誰も触れなかったところではありました。
その選択肢は万人にとっての最適解でないにしても、
選択肢として見えているかいないかで
他の選択肢が変わってくるかもしれない
エッジの効いた選択肢だと思っています。
ここまで言うと大袈裟かも知れませんが、
お子さんのいらっしゃるご家庭で手料理出なくても、
高いUber頼まなくても、
吉野家の牛丼もいいのではと言う視点は
一周回って選択肢の幅を広げるような切り口のように思えました。
今回は以上です!
不定期にご紹介していきますのでお楽しみに!