ともこ

瀬戸内海に面する県在住の一般的なアラフィフです。 一人で楽しむことが好きで退屈を感じる…

ともこ

瀬戸内海に面する県在住の一般的なアラフィフです。 一人で楽しむことが好きで退屈を感じることがあまりありません。日々のことをエッセイにできたらと思います。

最近の記事

ユキヤナギの季節に想う

通学路にユキヤナギの生垣に仕立てた家があった。 少し高台にあるその家は、春になると満開のユキヤナギが風に揺れ、小学生だった私は素敵な家族が住んでいるに違いないと勝手に想像して、憧れていた。 地元の大学に進学した私は、車の免許を取り、いつからか通学路になっていたその細い道をあまり通らなくなった。 小さな地元の町は聞きたくない噂ほど耳に入りやすい。 ユキヤナギの館はご主人が病死され、その後売りに出されていたそうだ。 あの頃の憧れのまま時が止まっていた当時の私は、その噂は

    • 目の前のことをどう感じたかが大切なんだよ

      最近、仕事仲間の先輩からのひとことが、引っかかってしまう。 まるで、指先のささくれが、髪をかき上げるたびにちくっとするような感覚…。 「もうあの人とは距離を置いて付き合おう。」 そう思っては、また小さく傷つく。 そんなことがあったモヤモヤしていた夜に、友だちからの電話。 お互いの近況報告のあと、ついポロッと愚痴がこぼれてしまった。 彼女は、いつものように明るい声でこう言った。 「先輩の言葉は一旦置いといて、あなたがその時、どう感じたかということだけに、ちゃんと向き合

      • 列車の中でイヤホンをするだけで、景色がドラマ仕立てになるなんて

        自分は地方のベッドタウンに住んでいるため、贅沢に聞こえるかもしれないが、強制的に普段はdoor to door のクルマ生活。 自分で運転していると、当然のことだが移動中の脳内は経路や今日の予定、買い物のスケジュールなど、結構ハードワークを強いられる。 だから、滅多にない列車移動の予定があると、無性にテンションが上がる。 タブレットに時間があったら観たいと思っていた映画を2、3本ダウンロードし、サズスクの音楽もオフラインで聴ける状態でスタンバイ。さらに荷物に余裕があれば文庫

        • 節目の春

          今日、長女が大学の卒業式を迎えた。 彼女が小学校5年生の初春、夫が癌で亡くなった。 そこからは、周りのみんなに支えてもらいながら、 子育てに奮闘してきた。 …。 いや、振り返ってみれば、育てられたのは私の方 だ。 子育ての経験のある人なら、お分かりいただけると 思うが、私も例に漏れず、何度もいわゆる子育ての 壁というものにぶち当たった。 いま振り返ると、家という小さな単位の中での閉塞 感で私が一人で窒息しそうになってたのかもしれな い。 そんな未熟な

        ユキヤナギの季節に想う

          会社勤めを辞めて

          ずっと、朝のコーヒーはハンドトリップで淹れていた。  二年前に自営業となり嬉しい変化はゆっくりとコーヒーを楽しむ時間ができたということ。 いつも朝食のコーヒーは家族使いのカップでサッと淹れていた。 ある朝時間があったので、旅行の際に買ったお気に入りの青いマグカップで淹れてみると、満足度の違いに驚きその日から少しだけ余裕をもって私は毎日そのカップでコーヒーを淹れている。 食器に興味がない家人から言わせれば、ただのカップの違い。 しかしコーヒーの温度の下がり方、唇に触れ

          会社勤めを辞めて