che坂口先輩。
チリトリ自由食堂を卒業して、ひとまずわたしは長崎に向かった。
長崎の琴海でレストランの'missi'をお手伝いするためだ。
シェフの坂口晃一氏は、オーナーの大川夫妻のお友達で、チリトリの夜の時間を利用して何度となく出張営業してくれた。
来島初日に、こうちゃんに鍵は渡してあるから、と、女将に告げられ、タイミング一足遅く食堂に向かった。
もうこうちゃんはチリトリに到着していて、自分で釣った5キロクラスのヒラスを勢いよく捌いていた。
その姿を見て、すごく仕事のできるただものじゃない人がきた!!!
(正しくは来てしまった、、笑汗)
と思った。 わたしは飲食店やホテルいろんなところでいろんな料理人に会って来ているので、自分が普〜通の、特別ではない料理人である。という自負とコンプレックスがあるのと同時に、不思議なほど仕事ができる人に対しては鼻が利く。
それは気迫みたいなものかもしれない。仕事に向き合うときの。
久しぶりに厨房の緊張感と、先輩の仕事がしやすいように!!スイッチがonしたのもよく覚えている。それはそれで楽しいけれど、
ふたを開けてみたら、ごっつええ感じのコントみたいな時間と、めちゃくちゃ美味しいものがどんどん出てくるレストランの、入り混じったようなめちゃめちゃカオスな時間だった。
今好きな音楽の話とか、こんなエンタメが面白いとかそんな話ばっかりで、初代看板娘のぽにょと3人で、ミュージカルみたいな茶番劇と、ゲラゲラ笑いながら営業した。
東京のフレンチ時代の話も。して、同じ時代に東京でフレンチをつくっていたことと、東京で地方から受け取った食材料理することで感じていたこと考えていたことなども、共通点があって面白かった。(こうちゃんは、和食からフレンチに入ったバックグラウンドもある為、日本人がつくるフレンチの完成形、素材を大切にシンプルに美味しいものを生み出している)
厨房で、琴海というローカルでどんなものをつくるかを真剣に語る姿に刺激をもらった。
Missiのチリトリでの営業の日に。
よく思い出させてくれたのは、お客様がいない時のお店。その静けさから、営業が始まった時に始まる、鮮やかでドラマチックな時間。空間が料理人やスタッフの力で持ち上がる瞬間。空気感。ぐいぐいと。お客様を巻き込み、心地良さや楽しさが積み上げられていく。いいお店は決まってその時間が生まれてくる。
お店全体がひとつのハッピーな生き物のように。
東京で、よくその感じを体験させてもらい、今でもそれが、特別な体験で、人生の宝物だ。
営業しているといろいろなことがおこって来るもので、その都度いいサービスをいい時間にできるかは、人間のバネ力みたいなのが必要なのだ。
折れない、しなやかで、ぐんとその場を、時間を、生み出してしまう料理人の底力と意地。気概。
そしてそこから生まれる料理というパフォーマンス。 それがこうちゃんは、当たり前にできる人。ほんとに天晴れな人である。
チリトリに来るたびに、何を。とは言えないが刺激をもらい、チリトリも私も成長させてもらった。光ちゃんが来るたびに確かに折になって積み重なっていく時間があった。
そんなこんなで、チリトリを卒業する私に、光ちゃんがウェディングの出張ケータリングがあるから手伝わない?と声をかけてくれて、長崎へ。
長崎でも、やっぱりこうちゃんは、こうちゃんだった。
かなり条件が難しいwedding会場で、その場限りのチームを組ませてもらったけれど、全員がチームのために絶妙に自分の判断で動いていて、ほんとに良い時間と空間を生み出していて見事なパフォーマンスだったと思う。自分もどんな状況でもベストを考え尽くす料理人でありたいものだ。
(特に甥っ子の日本一周前に帰省していた料理人カイト君の感度の高い立ち回りは素晴らしく、若者の素晴らしさを痛感した涙 望むほうにどこまでも成長していってほしい)
琴海でも新しく『タイドプール』が立ち上がり、古民家の活用やLive、映像制作、こうちゃんのローカル出張など挑戦が続く。
タイドプールの意味は、干潮のときしか現れず、波に揺られて流れ着いた多様な生き物が漂うタイドプール(潮溜り)
目まぐるしい日常のなかに突如現れる、その日、その瞬間にしか生まれない空間、タイドプールここは流れ着いた人間のオアシス。
チームの食担当として、いつでもどこでもオアシスを出現させちゃうんだろうな~、、
2019年にチリトリ自由食堂で出会わせてもらった時に、革命家Cheゲバラにちなんで、Che豚バラこーちゃんとしてサインをもらった。
Cheトミーには、まだ早いけれど、ふざけてんのか真面目なのかなんなのかわからないところで、自分もおもしろいことをし続けていたいなぁ。