tommy

料理探究家トミー。壱岐島のくらしと、旅と、ひとと、おいしいものをつくることのなかにある、ものがたりをささやかに探究and編んで言葉にしています。

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最近の記事

美しいカレー①

美しいカレー ときいて思い出すのはdancyuのコピーであったけれど、 今では、この時間を思い出す。 美しいカレー、魅惑的な言葉だ。 高野山でキノコ狩り合宿中、カレーの学校のメンバーで食事をしながら話していた時のことだ。 校長水野さんがひとこと 「美しいカレーを写真に納めたいんだよ 食べたらなくなってしまうから」 新しいカレーの本を製作中らしく、そのカレーの写真の収め方について、話されていた時に出た言葉だ。 ちなみに、この時、一緒にその新刊を制作されている小林さんは

    • まちあわせ

      ''努めなければならないのは、自分を完成することだ。試みなければならないのは、山野のあいだにぽつりぽつりと光っているあのともしびたちと、心を通じ合うことだ。'' 星の王子さまの作者で知られる、サン=テグジュペリの著作、”人間の土地”その序文の一説である。 わたしが自分の人生を編む上で、このことは大切にしているし、どうせなら美しく生きたいと願う軸になっている。 美しさに執着、というか、そこに目を凝らし続ける人が好きだ。 古墳で待ち合わせした彼女もそのひとりで、 はじま

      • あったりなかったりしても、その先に。

        ハイクラスの料金で料理する機会をいただいた。 ローカルな土地に暮らしながら、 じぶんが何かを行動する、挑戦する、選択をするときに、自然と身についてしまった癖がある。 それをすることによって、三つ以上のポジテイブな変化や学びがあるか。 そしてそれをやりたいと思っている人が他にいないか。 逆に手放してしまう時は、それを続けることによって三つ以上のネガティブな変化があったり、それをやりたいと思っている人が他にいたり、現れた時だ。 やりたいという人には、大いに活躍して欲しい

        • 朝鮮通信史のロマン

          2024年。 今年の夏、いちばんわくわくしたイベントがある。 壱岐市への朝鮮通信使の復元船入港イベントで、朝鮮通信使が食べたであろう壱岐がもてなしの際につくった料理を再現し、釜山芸術団のみなさんや市民のみなさんに振る舞うイベントだ。 「壱岐市が企画しているのですが、トミーさん企画に参加しませんか?」 と、お声がけいただいたとき、ワクワクして、久しぶりに、『きたーーーやったーーー』 と思った。 じつに、200年ぶりの勝本港来航である。 朝鮮通信使やその他の、大陸から対馬、壱

          食のなんでも屋の本懐

          ''iki island garden cafe'' ''ねーねーほほほ'' この2箇所の場所づくりや、関係する人々たちについて、セットでずっと考えてきた。 ''自然から受ける恩恵と美 華やかさの奥に そこにある豊かなもの'' ''用の美 そして日本的な祝福'' 遺したいもの、繋ぎつづけたいもの、暮らしの近くに在って欲しいと思うもの。 このふたつの場所に関わらせていただくにあたって、自然の間に人のライフタイムやデザインをはさむ事で伝わり、新たな関係性を見出す事。

          食のなんでも屋の本懐

          ''ねーねーほほほ''

          ねーねーほほほ とは何か この音だけきいて、すぐにピンとくる人がいたら4人しかまだいない。 この音がまちの中で、発語されているだけでちょっと愉快でおもしろい。 ''ねーねーほほほ''とは、芦辺浦にある元空き家の名前である。 持ち主は、那須くんという、元壱岐yoyoのメンバー。 壱岐yoyoプロジェクトが途中で打ち切りになり、活動の場づくりを自力でされていた時に、カントクに、 ここに「何があったらおもしろいと思いますか?」 と声をかけて、カントクが「キッチン!」と即答した

          ''ねーねーほほほ''

          ''iki HERB GARDEN CAFE''

          オーナーのウジトモコさんは、 デザインとマーケティングの人である。 わたしがお世話になっている、メイリキッチンのリブランディングのデザイナーさん。 「壱岐ビズ」というプロジェクトをきっかけに来島された。著書も多数で、東京と壱岐を行き来してお仕事をされているパワフルな方だ。 ウジさんは、わたしのつくるものを綺麗だね、とかARTよね、と言ってくれる人であり、美術を学び、その世界で生きてきた人にそんなこと言われるのはありがたい。 はじめてお仕事をご一緒したのは、地方のタコ

          ''iki HERB GARDEN CAFE''

          「文化の自給」と「遺すデザイン」

          福島県いわき市から、東京やいろいろな地方を経て、壱岐島という離島に暮らしながら、このふたつのテーマに関して考える事が多い。 漠然と、地方や個人(個性)の自立や幸福が成り立ちやすい環境とは何か。と。 考え続けていたのだが、「文化の自給」 は、宮城県石巻市の口笛書店さん代表の日野さんから。 「遺すデザイン」は、長崎県対馬市のイエローベースコーヒーさんのくまもとさんから、ポロリと聞いた言葉で言語化する事ができたのでリスペクトを込めてお借りする。 それに加えて、わたしがセットで

          「文化の自給」と「遺すデザイン」

          続 料理探究家のトリセツ

          Q トミーさんと台所の関係性を教えてください。 いい問いは、真を導くと思う。 聡明で繊細な彼女から、その宿題をもらった時にあらためて、自分の内側を見直してみた。 料理をつくりだす場所には、いろいろな呼び名がある。 キッチン、厨房、台所、、、 私のなかの台所は、とくに、命を育む場所であり、料理家の土井善晴先生の言葉をお借りすれば、『自分の居場所に帰る場所』『安心や愛に帰る場所』 料理は祝福と弔いを込める行為で、愛する技術を磨く行為。(※エーリッヒフロムさんの影響)

          続 料理探究家のトリセツ

          料理探究家のトリセツ。

          壱岐商業高校の探究の時間に呼んでいただき、高校生と向き合って座った。 以下、探究質問事項。 Q あなたを表すハッシュタグは何ですか? A 料理人。 料理探究家じゃないんだ~と思ったあなたは、そうとう私の活動を見守ってくれている人でしょう。w ありがとうございます。 フリーランスになってから、肩書きにはひたすらに悩んでいる。この時代なので、きっと自分の肩書きで悩む人は多いんだろうな。 おいしいなんでも屋。ウロウロ系フリーランス。コミュニテイフーディスト、コミュニケ

          料理探究家のトリセツ。

          2023.3/25

          -繰り返すことをためらわず 背伸びをしないで見上げてる いつも全てここにあるんだからと 笑うあなた、風、吹いても- チリトリの小上がりで青谷さんが歌い出す。 その曲は、『甘噛みサルーキ」 厨房の境にかかった大漁の手拭い越しに、ただLiveを見つめていた。 青谷さんが歌い出した瞬間にわたしは、ないていた。 まったく泣くなんて思っていなかったけれど。 ワンフレーズで、しゃくりあげるほどに泣いたので、その場にいるみんな内心びっくりしたであろう。 青谷さんは歌い続けている。

          2023.3/25

          こどもの島旅

          壱岐の島の大人たちでチームを組まれている、こどもの島旅プロジェクト。 食の部分でわたしも参加させていただいています。 一年以上前に、チームのみんなに向けて、言葉をまとめて読んでもらいました。 実現はしていませんが、改めて読んでみて、自分の想い、永いスパンでのビジョンがつまっているなぁ〜と、しみじみおもいかえしました。 ちょっとここへ、のこしておきます。 食育へのアプローチに関わらせてもらうことにあたって 島旅のプロジェクトに関わらせてもらうにあったって、今まで自分が考

          こどもの島旅

          まちのなかに短歌を。

          壱岐島の芦辺浦。大福丸書店さん。 大福丸書店さんは、3ヶ月間のACBlivingでのポップアップ営業で店主、森下さんのご縁から、石巻の口笛書店さんから歌人”近江舜”さんが来てくれた。 特別ワークショップ ”短歌を読んで本をつくろう”が企画され、嬉々として参加した。 少し前から、短歌、もしくは俳句を読む場所がコミュニティの中に、まちの中に、あったらいいなぁ。 と思っていた。 すこしの自己表現する場所や機会があることは、顔と顔を突き合わせて生きていく小さなコミュニティの中

          まちのなかに短歌を。

          あいだをみてみる。

          あたらしいものふるいもの。 その定義はあいまいでいつも、そのあいだの今をみんな生きている。 風土に根付く、伝統、歴史、食文化を掘り下げたいと思うようになったのは、それらが日本の、各地域の資源であり、人々の暮らしやその人自身の人生への愛着を、豊かさを、生むものであるのではないか?と感じていたからです。 人々がより移動し、交流する時代に伝統や歴史に執着することは時代に逆らっているような気もするけれど、それぞれの風土や食文化をすっっかり置き去りにしてしまえば、移動し、交流すること

          あいだをみてみる。

          ひとやすみの為の島と、

          長崎の琴海から、長崎市内のひとやすみ書店さんへ。 そして向かったのは、八重山諸島、小浜島。 そして沖縄本島。 真夏の、壱岐島の繁忙期にいつも小浜島から三線を片手に、 チリトリ自由食堂を手伝いに来てくれている、キセルを訪ねるためだ。 毎年毎年、手伝いに来てくれているものの、自分はなかなか行くことができなかった。 沖縄には、鯨をみにいって以来だった。 東京で暮らしているときに、星野道夫さんが、今この瞬間にヒグマが生きている世界がある と思って、北海道に行ったように、今この

          ひとやすみの為の島と、

          che坂口先輩。

          チリトリ自由食堂を卒業して、ひとまずわたしは長崎に向かった。 長崎の琴海でレストランの'missi'をお手伝いするためだ。 シェフの坂口晃一氏は、オーナーの大川夫妻のお友達で、チリトリの夜の時間を利用して何度となく出張営業してくれた。 来島初日に、こうちゃんに鍵は渡してあるから、と、女将に告げられ、タイミング一足遅く食堂に向かった。 もうこうちゃんはチリトリに到着していて、自分で釣った5キロクラスのヒラスを勢いよく捌いていた。 その姿を見て、すごく仕事のできるただものじ

          che坂口先輩。