不自由を楽しむタイプの遊び
私の職場では50年以上前から変わらない方法で仕事をしている。
定食屋の秘伝のたれの話ではない。仕事の進め方である。
紙の決裁書を作って。必要な資料を全部プリントアウトして、決裁板に挟んで、部署内で回覧して、一人一人から判子を押してもらい、最後に偉い人に判子を押してもらう。そして、決裁資料を広辞苑ぐらい分厚いファイルに綴じていく。(たぶん分厚いファイルをご存じない方もいらっしゃると思うのでリンクを張ります。私の職場にはこのタイプのファイルが数千冊おいてあります。)
https://www.amazon.co.jp/dp/B000NNPXAQ/ref=cm_sw_r_tw_dp_AHSN6QGQD946ZBKDM1VF
速い馬を求めたら車は生まれなかったはずだ、とは誰の言葉だったか。悲しいかな私の職場ではパソコンを紙の決裁書を早くきれいに作ることができる「速い馬」として使っている。はやく「車」として使ってあげてほしい。
電子決裁が当たり前の会社から転職してきたので、最初はとんでもないカルチャーショックを受け、5年以上少しも進化しない自分の職場に悶々としていた。
しかし、5年も悶々としていたら、急に悟りが開けた。
あ、これは不自由を楽しむタイプ遊びなのだ。
一人で近代化するのは無理な話で。郷に入っては郷に従え、こういった古めかしい作法を楽しむ娯楽なのだととらえることにした。人とは気の持ちようでどうにでもなるようで、むやみに悩まなくなってストレスが少し減った。
なんて喜んでいたら、カレー沢薫さんが新刊「反応したら負け」で同じような結論にいたっており、カレー沢さんがさらに好きになった。
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アナログな職場にクソデカ感情をいだきすぎて辟易していたらぜひ読んでほしい。きっと気持ちがちょっと楽になるはずだ。