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「心」は持ちようか。

平野啓一郎著の「本心」を読んだ。
一度で消化したとは言い切れないくらい、
内容の濃い本だったと思う。

今の自分に感じられたのは、
「心」、「本心」というものを、
様々な角度、状況、場面で見ていくように、
話が展開していく話だった。

そのどれもが、「あの時の自分」に
当てはまるような、当てはまらないような。
そんな追体験にも似た、感覚を覚えた。

また、死生観というか人生観というか、
そういう根本的な考え方に触れるようでもあり、
読む人の状況によっては、それさえ覆されるような、
そういう力のあるような本だと思う。

他人の心のことは、どう考えても分からない。
というだけでは、結論付けられない。
人との心の距離や、交錯が語られている中で、
どうしても自分の心の持ちようはどうか、
他人の心をどう捉えているか、
そういうものを、立ち止まって考えてみたくなる感覚を味わった。

小説にすることで、お堅くなりすぎない、
読みやすくも深みのある話だなと思った。

少しSFだけど、今と地続きと分かる背景も、
自分とかけ離れた世界でない現実感として、
説得力があり、読みやすかった。

時間が経って、今の自分とは少しでも
変わった状態で、また読んでみたい本である。

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