![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/156463997/rectangle_large_type_2_3f638311673a25e8b31314f5476dcd44.png?width=1200)
Photo by
fujirooll
不安な気持ち
まだ何でなのかお話しはできないけれど、不安な気持ちに飲み込まれそうなときが続いている。
「あんまり考えたって仕方ない。」
そう言い聞かせている自分もいるのに、次の瞬間には「どうしよう、どうしよう」と、焦り出している。
そんなときが続くなか、先日、長田弘さんの『自分の時間へ』という本を読んだ。今は知人に貸してしまっているが、その中に、
こころの色はどんな色か。こころの文字はどんな文字か。本は、その本が「私」に語ることがすべてではないと思う。その本についてよりももっと多く、しばしばもっと深く、本のありようはその本を読む人、その本をもつ人の、「私」のこころを語るからだ。人が服を着るように、こころも服を着る。本はこころが着る服だ。
という文章があった。
なんだか心に残ってメモを取った。
先月、町の小さな本屋でこの本を見つけたとき、温かみのある装丁デザインにも惹かれ、作者のことはよく知らなかったけど、「読みたい!」と、手に取った。
行き帰りの電車で読んでいると、雨がしとしとと降っている日のような、落ち着いた雨の匂いがする気がした。
小さい時に、雨の中、傘をさして歩いていると、世界がしーんとなって、緑と土の混じった匂いが心地よく、心が静まっていくような心地になった。
この本はまさにそんな感じだなと思う。
不安に感じている自分がいるからこの本を手に取ったのか、はたまたそのときの自分は落ち着いていたのか。
とにかく「本はこころが着る服だ。」とは言いえて妙だ。
まさに、今、私が着たい服だから。
常に元気な状態でいるのは難しい。
不安な気持ちがすぐに消えるわけでもない。
それでも私がこの本を読んだこと、そして私の本棚には私を私たらしめている本たちがあること。
とても心強い気がした。