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不安な気持ち

まだ何でなのかお話しはできないけれど、不安な気持ちに飲み込まれそうなときが続いている。

「あんまり考えたって仕方ない。」

そう言い聞かせている自分もいるのに、次の瞬間には「どうしよう、どうしよう」と、焦り出している。


そんなときが続くなか、先日、長田弘さんの『自分の時間へ』という本を読んだ。今は知人に貸してしまっているが、その中に、

こころの色はどんな色か。こころの文字はどんな文字か。本は、その本が「私」に語ることがすべてではないと思う。その本についてよりももっと多く、しばしばもっと深く、本のありようはその本を読む人、その本をもつ人の、「私」のこころを語るからだ。人が服を着るように、こころも服を着る。本はこころが着る服だ。

長田弘『自分の時間へ』(筑摩書房) p.150

という文章があった。
なんだか心に残ってメモを取った。

先月、町の小さな本屋でこの本を見つけたとき、温かみのある装丁デザインにも惹かれ、作者のことはよく知らなかったけど、「読みたい!」と、手に取った。

行き帰りの電車で読んでいると、雨がしとしとと降っている日のような、落ち着いた雨の匂いがする気がした。
小さい時に、雨の中、傘をさして歩いていると、世界がしーんとなって、緑と土の混じった匂いが心地よく、心が静まっていくような心地になった。

この本はまさにそんな感じだなと思う。

不安に感じている自分がいるからこの本を手に取ったのか、はたまたそのときの自分は落ち着いていたのか。

とにかく「本はこころが着る服だ。」とは言いえて妙だ。

まさに、今、私が着たい服だから。


常に元気な状態でいるのは難しい。

不安な気持ちがすぐに消えるわけでもない。

それでも私がこの本を読んだこと、そして私の本棚には私を私たらしめている本たちがあること。

とても心強い気がした。

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